TaiRa

ミスター・ロジャースのご近所さんになろうのTaiRaのレビュー・感想・評価

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教育テレビの人気番組を手掛けたフレッド・ロジャースのドキュメンタリー。

聖職者を目指していたフレッドが当時新興メディアだったテレビに進路変更。フレッドが当時から一貫して批判するテレビの在り方が今の日本のテレビそのものっていうね。未だにパイ投げの延長だし。フレッドの番組は歌と人形劇で構成される。今このドキュメンタリーを作る意義がはっきりしてる多様性と自己肯定のメッセージ。作曲・脚本・演出はフレッドが手掛けてる。子供たちがテレビで目にする社会問題から逃げず、番組を通して向き合う。初回放送からベトナム戦争に言及した人形劇、ロバート・ケネディ暗殺にも言及する。トークコーナーでも重いテーマを子供たちに真面目に語る。一貫してるのは子供を子供扱いしない。具体的に言えば子供をバカにしない、子供だましはしない。複雑なテーマであろうと子供は充分に理解を示す。フレッドは子供の純粋さを信仰するような、サリンジャー的な雰囲気もある。彼の過去に何かあるのでは、とか邪推されたりもするが彼はただ純粋にそれを信じている人。聖人のような人だけど、彼の息子がインタビューで「キリストのような父を持つと大変だよ」と呟いていたのが印象的。共演者の黒人俳優がゲイと分かった時の受け容れるまでの過程とか、牧師であるが故の保守性、あと生涯共和党員だったり、ただリベラルなだけの聖人という訳ではないのが人間ぽくて面白い。
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