『幸せへのまわり道』でトムハンクスが演じたフレッドロジャース本人のドキュメンタリー。聖職者としてのバックグラウンドや生い立ちから彼の思想の根本が垣間見える。番組名の「ご近所さん」はキリスト教で言う「隣人」である。そのままの君が好き、は彼の口癖だがゲイの黒人歌手の友人をありのまま受け入れるには番組上と信仰上抵抗があったようだ。愛されるために特別な存在になる必要はない、など子どもだけでなく大人にも響く言葉に素直に感動する。一方エディマーフィーやジムキャリーのようなコメディアンが彼の番組をパロディで茶化したくなる気持ちも分からなくもない。彼らはロジャース本人がありのままの自分を本当に愛すことができているのか、そのわずかな疑念を本能的に見抜いているのではないか。優しさは優しく語るだけでは伝わらない世の中に我々は生きているのかもしれない。
