とりん

ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうたのとりんのレビュー・感想・評価

3.8
2023年21本目

やはり音楽ものは良いねって改めて思わされた。
ストーリーとしてはそこまで捻りもなく、割とストレートではあるけれど、家族愛や恋愛、友情などもそれなりに描かれていて良かった。
父親の娘のことを気遣ったりする場面はあるけれど、行動や考え方がちょっと自分本位というか甘いというか子どもっぽさあって、むしろ娘の方が達者な感じはある。でもその部分があったからこそ、あの曲は生まれたし、最後のあのライブシーンまで持っていけたのだろう。
夫婦で昔バンド活動をしていたけど、娘が幼い時に事故で母は亡くなってしまい、男でひとつで娘を育ててきた。時折父と娘でセッションしたりと音楽には触れてきたものの、娘の夢は医者で大学に行くためにこの街を離れることになっていた。勉強しなきゃ行けないのにセッションしようと駄々こねる父はかなりわがままに見えるけど、自分のためでもあるだろうけど、ああ見えて娘との時間を作ろうとしてたんだろうし、夏休みに予定がない娘のために何か思い出作り的な部分もあったのだろう。そしてそれが名曲を作ることにつながり、勝手にSpotifyにあげたら、世界的プレイリストに選曲されたり、それで耳止まったレコード会社から連絡が来たりとあれよあれよと転がっていく。でも娘としてはただいっときの気持ちで曲を作っただけ、自分のこれからの予定までズラして音楽活動をするなんて迷惑なんて思いつつも、自分の想いを歌に乗せれることにも気持ちが傾いていく。ライブでの快感とガールフレンドからの気持ちに揺れて娘がこの街に残ると言ったらどうするという問いに対して、明確には描かれていないがちゃんと背中を押して大学に入れたんだろうな。貯金も貯めてたし、もしくは1年ずらして音楽活動をしたか。その間の貯金かもね。父としても娘としても良い感じに最後転がれたのは良かった。父はああ見えても寛大だよな。だらしない部分は多いけど、娘の恋愛にも自由にさせてたし、音楽で頭でっかちなだけで、ちゃんと考える力はあったし。
とにかく音楽がとても良かった。
とりん

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