おもち

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話のおもちのレビュー・感想・評価

4.4
 筋ジストロフィー患者との交流を描いた物語。大泉洋主演。
 24時間介助が必要な重い障害だがフランクで自由気ままな主人公。そんな彼の介助ボランティアをしていたひとりの医学生の恋人がたまたま家を訪れ彼女に恋をしてしまう。奇妙な三角関係が進む一方、病気も容赦なく進んでいく...。

 ラブストーリーだけどかなりがっしりと障害を描いた作品だった。ラブストーリー半分、闘病半分という感じ。主人公は障害を持っていてもひとりの大人、お酒も飲むしエロ本も買う。でも障害者の自立を真剣に考えていて、夢はアメリカにいる活動家に会いに行くことと根は真面目。ボランティアの人たちもそんな彼の意思を尊重し対等な立場として別け隔てなく接してくれてリアリティがある。ボラさんの中では萩原聖人演じる役が面倒見も人柄も良くて一番イイ味が出てた。
 闘病シーンはタイトル通りのオバカな普段との対比が強く出ていて、後半は涙の連続。コメディ路線かなと思ったらがっつりシリアスだった。障害を持つ子の親の葛藤、障害者本人の自立生活、それを支えるボランティアや生きるための医療という深いテーマが事細かに映し出されてた。

 「生きるってのは迷惑をかけ合うことなんだ」、「思い切って人の助けを借りる勇気も必要なんだよね」という台詞が印象的。支え合って生きるのが人間、彼も立派に支える側としての役割を担っていたと思う。全方位からの愛がたっぷり詰まってて満足度はかなり高かった、オススメッ!
おもち

おもち