LalaーMukuーMerry

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.1
車椅子の障害者とその介助者の心暖まるお話を期待してたら、のっけからあれっ?となる。主人公鹿野(=大泉洋)の車椅子の障害者がわがままで嫌~な感じなのだ。多くのボランティアが代わる代わる介護にやって来るのだが、「あれして、これして」とやりたい放題に使い回す。「こっちは一人では何もできないんだから、しかたないんだよ」 障害者、何様? 案の定、もう一人の主人公みさき(=高畑充希)と険悪な雰囲気に・・・
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心配して見始めたが、終わってみれば予感通りのいい感じのお話でした。
車椅子の障害者とその介助者の記憶に残るドラマというと、「最強のふたり」、「世界一キライなあなたに」、「ブレス しあわせの呼吸」などが浮かびますが、本作はこれらほどドラマチックではないですが、逆に言えば身近に考えさせられる良作(そして実話ベース)。

人は誰でも一人では生きていけない。
迷惑かけ合って助け合う、お互いさまのお付き合い

人はみな、夢を持つからこそ生きていられる
夢に向かう意志の強さに、障害なんて関係ない

そんなメッセージを受け取りました。
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おまけ 「ボランティア」から感じること

親戚が西日本豪雨で被害にあったので、私は昨年初めて災害ボランティアに参加した。でも介護の方は親がしっかりしているので経験がない。まして他人の世話をする介護ボランティアは私にはとうていできるとも思えない。この作品に出て来るボランティアの人たちはホントに凄いなと思う。
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ボランティアを讃えて、推奨することは良いことと思います(なにも間違ってはいない)。でも「良いことだからやりましょう」と表裏一体、紙一重なのが「しないことは悪いことだからしなければならない」という意識。「ボランティア」とはもともと自発的なことなのに、いつのまにか、やるように仕向ける圧力を感じ始め、義務感が生まれてしまうこと(これではもはやボランティアではなくなる)。このことが私はとても気持ち悪いのです。
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これにお金が絡んで来るとまたややこしくなる。いつのまにかボランティアとは無償労働だとの誤解が広まっている。そうすると無償で働くことの尊さを推奨するというおかしなことにすぐに結びつく。教師や医師の労働条件があまりにも酷くなっている現実は、こういう背景があるはずだ。
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だから、あまり声高にボランティア、ボランティアとメディアで取り上げないでほしいと感じている。でも、ここまで取り上げなければならない程、日本のボランティアや寄付の文化のレベルは低いと言うことなのかもしれないが・・・