現在は生放送で感想中の丈兄丸

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話の現在は生放送で感想中の丈兄丸のレビュー・感想・評価

3.3
2019年1月26日にフリーパスで鑑賞。
お察しの通り、前回(サイコパス・ケース1)同様に約一年前の記録起こしなので、
記憶違いも多少ある”ざっくり印象”としてレビューさせていただきたいと思う…w



実在した進行性筋ジストロフィーという難病を抱えた男性のノンフィクションドラマ。
個人的にノンフィクションものは、勿論作品・制作陣によって多少差はあれど、
『これ実際にあった話なんだよな…』と面白がれる担保があり、
基本ハズレはないと思ってるので、
無駄に危険な“期待”はしないよう意識しつつ、しかし興味深く観に行った。


実際に観始めてみると、最後まで全体の雰囲気や方向性・テイストは、
台詞としても出てきた(はずの)「こんな夜更けにバナナかよ」というタイトルが、まさに“名で体を表す”が如く、
難病の実話モノ…という肩書きを極力壊しにいくような軽やかさ・おかしさを前面に出していた。

難病持ちにして難儀な性格の主人公を“大泉洋”が演じるというキャスティングからも、構えず気楽に観てほしいという意図さえ感じ取れるし、
演出や語り口も、映画慣れしてない人にも観やすいという意味で、
特に序盤や前半は、テレビドラマ的なタッチだなと感じた。


物語が進むにつれ、当然ながら主人公や周りが難病ゆえの大変な生活と向き合い・それに葛藤していくのだが、
今作の白眉は何といっても“高畑充希”の力強い存在感であろう!

今作を観てしまうと、彼女が優先的に演じるべき役柄は、
鎌〇物語のような、作品共々上っ面だけの脳内花畑女子より、
今作の安堂美咲のような、生々しいほど人間臭く、しかしだからこそ最終的には愛しさで満ちている、
リアリティありまくり女子だと確信せざるを得ない!!w


またリアリティ路線という面では三浦春馬の、主役ではないがメインを支える青年も説得力ある存在感だったし、
俺たちのハギーこと萩原聖人の、彼のイメージからはちょっと珍しい・とにかく優しく穏やかなおっちゃんなど、
改めて振り返ると今作は、今の日本俳優たちのアンサンブルによる、
何だかんだ見たことなかった人間たちを楽しむ作品だったようにも思える。


そちらにフォーカスされていた…いや恐らくはむしろそっちにシフトを固めたであろうというのも、
ストーリー的には、衝撃に次ぐ衝撃な実話だったり、ウェルメイドで誰もが大感動できる作りではなかったかもしれない。

しかし、そんな“総合的によく出来てる仕上がり”ではなく、
一瞬・一時間・一人生を、刹那的で、不愉快や理不尽さを交えながらも、
喜怒哀楽表情豊かに、何なら圧倒的にマジョリティである“健常者”以上に、
自分本位で泥臭くても、だからこそ人間臭い生き方・信念を貫いた鹿野さんや、
またそれを支えた周りの人たちの”難儀であれど・だからこそ味わい深い”人生を堪能する方が、よっぽど生きる甲斐があるのかも…と思わせてくれる、
『逞しく、そして愛おしい』一作だった。


……多分(笑)