さわだにわか

マイ・サンシャインのさわだにわかのレビュー・感想・評価

マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)
4.5
あまりに低評価なんで別のとこで感想書いちゃったんですけどちょっと支援しておく。これは予告編と邦題が悪い。『デトロイト』的な意味での暴動の映画じゃないし、別に心温まる感動作的なものでもないです。

詩人の感性でもってカーニバルとして暴動を捉えた映画で、笑わせたいのか怖がらせたいのか判然としないまとまりのない構成はその点から理解することができますし、カーニバルがもたらす抑圧からの一時的な解放と自己変革の契機を受け入れられない人々にとってのみ暴動は暴動である、というような暴動賛美が基調になっている挑発的な映画です。

オープニングが雑貨屋の少女射殺事件なのは非常に重要なポイントで、もし少女の言うことを店主が受け入れていれば事件は起きなかったが、店主は見知らぬ者への恐怖心から銃を取る。
つまり、自分のコントロールの及ぶ小さな世界の秩序が乱されることを恐れるあまり先に手を出してしまって、結果的に恐れていた秩序の壊乱を自ら招いてしまう。

これが映画で描かれる出来事の全てと言えますし、その延長線上に主人公たちの直面する悲劇もあります。何もオチてないなんてことありません。ロス暴動である意味が必要ならこの事件がその意味です。前作の『裸足の季節』と共通するテーマです。ストレートに見たままの映画です。
ただ内容とかなりかけ離れた宣伝がされてるのでそのへん分かりにくくなってるんだと思います…。
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