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マイ・サンシャインのmitoのレビュー・感想・評価

マイ・サンシャイン(2017年製作の映画)
2.6
ラターシャ、ロドニー・キング事件〜それを発端に起きたLA暴動に翻弄されるある黒人一家を描いた作品。

露骨な黒人差別な判決から端を発した暴動が徐々に激化していく過程を描く様子は中々良いが、それを見つめる視点である、主役のミリー一家が主役として機能していないと感じた。

兎に角、彼女らに同情出来ない。
ミリーは放っておけないという理由で親が刑務所に連行された子供を無計画に保護しまくる。
これでしっかりコントロール出来ていれば、彼女に共感を持てるのだが、劇中の動きを見る限り、全く世話が出来ていない。
自分は仕事があるので、肝心なところで子供は言うことを聞かないし、息子に世話を任せるし…。
息子は息子で、この一家で一番常識人かと思いきや、惚れた弱みでズブズブと悪行に巻き込まれる…というか、彼は付いていく必要ない状況なのに、ホイホイ付いていったりと自業自得感が強い。

その惚れた女も、その取り巻きも、先述の保護された子供らも…余りにも早計で安易な思考回路で動いているようにしか見えず、反体制側=判決に不満を持って行動する側の筈なのに、全く共感出来ない。
例え、この行動が貧困故にまとも教育を受けられない弊害という描写だったとしても、それだけを理由に、この「ノリ」で暴動に参加しているような輩を愛おしくは思えない。

LA暴動に至る経緯をドキュメンタリー的に描くのか、LA暴動に翻弄される一家の人間ドラマを描きたいのか、どちらかに注力すれば、まだマシな感想を持てたと思う。兎に角、中途半端。

唯一のこの映画の良心が、冒頭一番暴れてたダニエル・クレイグ演じる隣人ってのも意外。
まあ、それだけ、他の登場人物の行動原理が無茶苦茶ってのもあるが…。
しかし、ハル・ベリーとダニエル・クレイグのラブシーン&惹かれ合う流れが恐ろしい程、力技だったなぁ。笑ったわ。
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