蓼食う虫

オリバー・ストーン オン プーチンの蓼食う虫のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まだ1話目しか見てないので思いついたことをメモ。

この時点(2015年あたり)でここまでわかってたのなら、なぜ誰も今回の侵攻を止められなかったのか、というのが最大の疑問。今日の事態へ至る道筋は、ある意味子供でもわかりそうなもんやと思う。最大の理由は、NATOに入れてもらえず独り除け者にされたロシア組の組長が、劣等感とルサンチマンと被害妄想に苛まれて一世一代の博打に出るしかなかった、ということか。コロナで人と会わなくなり歴史書を読み漁った末、さらなる一線を越えるまでにエスカレートしてしまったのか。

識者らは「戦争とは外交の失敗」と連日テレビで繰り返しているが、後世はこのドキュメンタリーと2022年の年表を見比べて、前世である私たちの愚かしさを後に嘆き責めるのではないだろうか。

プーチンへの権力集中による独裁化・マフィア化・誇大妄想、豊かさ(カネ)と自由に憧れた旧ソ連・東欧諸国のロシアからの離反、ゼレンスキーの挑発的な舵取り、軍産複合体の戦争欲、NATOの長い自分探しというモラトリアムの苦悩、米露が互いに抱く疑心暗鬼、自衛を建前にした拡張主義、コロナ蔓延による心理・社会・経済的な停滞と世界規模での集団・個人双方の引きこもり、人口増加と庶民の生活向上に伴う資源難・食糧難、各国の内政重視と右傾化、SNSの過度な普及による負の感情の人工的な増幅、天災や気候温暖化、はたまたSDGs…。

まだまだきりがないが、そういった幾多の要因が複合的に絡み合い、その結果、地球儀の表面に敷かれた絨毯の上に四方八方から圧がかかり、今回この21世紀初頭には、たまたまヨーロッパのbread basketにその皺が集まってしまった、ということなのかもしれない(「複雑系」は一時流行った言葉だが、最近はとんと耳にしなくなった。今はバタフライ効果とでもいうのかな)。

強烈にストレスがかかる立場にあるにもかかわらず、時にユーモアを交えた人間味ある表情を見せるプーチン。これほどの器を持った指導者は今の世界にそういないのではないか。勿論、その身振りや表情は諜報員として磨き上げられたテクニックでもあるのだろう。この人たらしの技に、子ブッシュもメルケルも安倍さんもコロッと騙されたのか。

金平さんがルカシェンコにインタビューした動画を見ても、タイプは異なるがプーチンと同種の老練なスキルを感じた( https://youtube.com/watch?v=9b1jHIZuOCs )。一見相手を優しく取り込むソフトな話し方。身内や味方に優しいが、敵や裏切り者には非情なマフィアの作法。

米露という不良少年のリーダー同士が互いの悪行を世界にチクり、「だって〇〇くんもあんな酷いことしてるもん! 何で僕だけ責められないといけないの⁈」と非難する。国家とは合法的な暴力装置というし、それらの悪行は時代を遡ればどこの国も大なり小なり思い当たる節があるだろう。

広大な貧しい後進地域を有する大国は、絶対君主による独裁が歴史的・地政学的に不可避なのだろうか。だとすれば、自国とは異なる自由民主主義という統治方法を取り入れることができずにいる中露は、ある意味悲運な国だ。

We share the same biology
Regardless of ideology
What might save us, me, and you
Is if the Russians love their children too

https://youtube.com/watch?v=wHylQRVN2Qs

https://youtube.com/watch?v=n1scluzlPz0

残りまだあと3話もある…^^;

ひとまずメモ
蓼食う虫

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