メチャクチャ良いとまでは言わないが、しみじみと良い作品だなとは思う。ゲイポルノではあるが、映画のプロデューサーを主人公にしているだけあって、スクリーン(『カラビニエ』?)とか撮影現場とか映画内映画とかが重要。
360度パンの場面とか凝り方が上手く機能しているとは思えないし、今どきネガポジ反転を多用する=フィルム撮影の必要があるとは思えない質感の画面だったりするが、比較的オーソドックスな撮影には好感が持てる。軽く揺れた画面をポンポン繋げば良いというものでもないだろう。
とはいえ、この作品の肝はポルノであれ、ホラーであれ、お仕着せの仕事ではなく愛好家=シネフィルが撮る時代なんだと感じさせることなのかもしれない(監督のヤン・ゴンザレスはかなりのシネフィルである)。もはやそれらは消極的な"お仕事"ではなく、積極的な選択としてあるということか?少なくともヤン・ゴンザレスにとっては。
エンディングには少し感動した。エモいってこういうことかも。あと女性の登場人物がみんなそれなりの歳なのが良いよね。身も蓋もない話だけど若かったら単に美しい話で終わっちゃうから。