けーすけ

初恋~お父さん、チビがいなくなりましたのけーすけのレビュー・感想・評価

3.2
勝(藤竜也)と有喜子(倍賞千恵子)は結婚して数十年が経ち、子供たちも家を離れ、2人と黒猫のチビとで日々過ごしていた。穏やかな暮らしではあったが、有喜子は頑固で無口な勝が何を考えているのか分からず、見合い結婚だった事もあり「自分の事を好きではなかったのかもしれない」と思い、離婚をする事を考え始めていた。そんな折、有喜子の心の拠り所でもある大切に可愛がっていたチビが家からいなくなり・・・






子供が巣立って夫婦二人暮らしに戻り十数年、勝が典型的な亭主関白の昭和オヤジとして描かれています。そしてそれをかいがいしく世話する有喜子。
「こりゃ熟年離婚も起きるわ」っていうくらいに夫婦間の会話が無い。

そして決定的なきっかけとなったのが愛猫であるチビの失踪。勝は有喜子が頼んだペット探しの業者にも怒り、挙句は「チビは歳だからもうどこかで死んでる!」と言う始末。


チビを探す話を中心に、勝・有喜子夫婦の出会った話や、息子と娘たちを交えた物語となっておりますが、いま一つそれぞれのエピソードを掘り下げ切れていない印象でした。

とはいえ、有喜子から離婚を切り出された時の勝の狼狽っぷりは分かりやす過ぎて笑えましたし、二人が結婚したきっかけの真相や、不器用すぎる勝の思いにはホロリとさせられましたので及第点。



「長年連れ添っていれば言わなくてもわかる」ではなく、日々感謝を言葉にして、日常の何気ない事でも相手に言わないとだめだよなあ、、、と思わされた次第です。




有喜子を演じた倍賞千恵子、久々に見た気がしますが、年齢通りのどこにでもいそうなおばあちゃんを自然に演じておられましたね。ほっこりできる安心感もありつつ、孤独を抱えていくさまが切ない演技で引き込まれました。

勝役の藤竜也。倍賞さんと同い年なのか!頑固そうな堅物キャラを演じさせたら間違いナシ。ビシっとダンディでもありつつ不器用な面が良い感じでした。

そして市川実日子が娘役の菜穂子として登場。この人が出てきた時の空気感ってなんなのだろう。不思議な雰囲気をまとっていますよねー。37歳で未婚のキャリアウーマンをリアリティある演技で演じておられました。

あと記憶に残ったのが、有喜子が若い頃を演じた優希美青。「おっ?」と目を惹かれる美しさ。『ちはやふる -結び-』や『ママレード・ボーイ』に出ていたのですね。名前覚えておこう。


そして黒猫チビを演じた(?)のは「りんご」という猫ちゃんだそうで。途中からしばらくいなくなっちゃいますが、かわいい猫でした♪
猫好きならそれだけで見て損はないかも?


びっくりするような事件はないですし、めちゃドラマティック!という内容でもないですが、のんびり見られる映画として良かったです。




2021/02/08(月) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。
[2021-018]
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