第3逃亡者

最後のランナーの第3逃亡者のレビュー・感想・評価

最後のランナー(2016年製作の映画)
3.0
肝腎なシーンになるほど台詞の少なさがすばらしい。例えば、肺に病気した新婚の男が薬が届かずに死んでしまうシーンでの画面は、目をとじて横になる男の額に当てられた朝の日射し、眼鏡と蝶ネクタイを拭い取る医者、残された妻の前で帽子を脱ぐ主人公、両手で首をしめるような仕草する妻、風に吹かれて揺れる洗濯物の白、といったショットのみによって処理されておりグリフィス的で気高い。
序盤の主人公が家族からの手紙を読むシーンでは雨が降っているのだが、そのときの傘のありかたが、屋外の風景からその場にいる主人公と少年の姿を包み込むような効果をあげており記憶に焼きつくのだが、ここでももちろん、手紙の文面がボイスオーバーによって読み上げるという処理はされていない。それがあえてそうしているかのような慎ましさを覚える作品