けーすけ

引っ越し大名!のけーすけのレビュー・感想・評価

引っ越し大名!(2019年製作の映画)
3.3
1682年、江戸時代の姫路藩。書庫番である片桐春之助は人付き合いが苦手で、蔵書を読んでばかりの日々を過ごしていた。
そんなある日、姫路藩に日田(大分)への国替えの令が出された。国替えとは藩ごと引っ越すという一大プロジェクト。これまで幾度となく国替えを行ってはきたが、引っ越し奉行となる者の手腕一つで成否が決まる。当時の経験者は他界しており「本に詳しい片桐なら何とかできるのでは」と彼に白羽の矢が立った。果たして引っ越しは成功するのか・・・





『超高速!参勤交代』と同じように、堅苦しくなく軽いテイストで描かれる“お引越し”。

時代劇というより再現ドキュメンタリー的な雰囲気があるので、時代劇や歴史が苦手な人でも楽しめると思います。
逆に言うと時代劇ならではの作りを求める人には全く合わないかと。



主人公で引っ越し奉行に命ぜられた片桐春之助(星野源)は、予算も確保しなくてはならない&人も減らさないといけない(リストラ)という超難題を押し付けられる事に。

最初こそオドオドしてろくに喋れない片桐だったが、かつての引っ越し奉行の娘・於蘭(高畑充希)や幼馴染みの鷹村源右衛門(高橋一生)の力を借りつつ、膨大な所蔵で頭に入れた知識を活かし難題を解決したりして、たくましく成長していくサクセスストーリーの一面もあります。


ただ“引っ越しの準備”という地味な作業が話の中心のため、どうしてもストーリー展開にメリハリが乏しいように感じました。「費用が足りない」とか「藩士も減らさないと」という課題解決は面白くはあるのですが、どれもいま一つ盛り上がりに欠けた印象。


一応、終盤に引っ越しに伴う陰謀とそれによって起きる大立ち回りで盛り上げようとしたシーンもあるのですが、取ってつけたような内容で全く緊迫感のない失笑もので非常に残念な気持ちに。


それでも片桐が貫いた義と信念が結実するラストには心暖まる感動がありました。




内容に対しては少し厳しめな感想になってしまいましたが、主演の星野源のひ弱な童貞感(失礼!でもそういう設定)を演じさせたら一級品な佇まいや、高畑充希や濱田岳の存在もドシっと物語を支えていて良かった部分。

なにより高橋一生が武道の達人で豪傑という設定。彼、この役めちゃめちゃ楽しんでたように見えて、とても輝いておりました。笑
おそらくアドリブでは…と思われるシーンもちょいちょいあるので注目です。



120分と少し長めですが、気楽に観られる映画としてはおすすめです。


2021/01/06(水) TSUTAYA DISCAS単品レンタルにて鑑賞。
[2021-003]
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