和桜

天国でまた会おうの和桜のレビュー・感想・評価

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
3.5
第一次世界大戦で同僚を助けるために重傷を負ったエドゥアールと彼に救われたアルベール。戦後、二人は貧しい共同生活を送りながら、そんな状況に追いやった上官が戦没者追悼事業で富を得ていることを知り、ある詐欺計画を企てる。

戦場で上手く立ち回った上官が優遇され、戦没者を敬いながら一般の帰還兵は冷遇される戦後社会の矛盾。人によっては笑えない、フランスらしいブラックユーモアが織り混ぜられた反戦風のサスペンス。
ただ、最終的には社会よりも個人や家族の話に集約していき、戦後社会や記念碑事業という触れにくい問題に言及しながらもあまり踏み込まない。

人目を忍ぶため戦死を偽装し、喋る事も食べる事も出来ない生き地獄を味わう仮面の男。彼の言葉を何故か通訳出来る少女と彼への罪悪感を抱える男の関係性も秀逸だった。
だからこそ、ここで自己完結して欲しいという願望はあったけど、ルメートルの作品だけに更なるツイストも楽しめました。
和桜

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