Hideko

天国でまた会おうのHidekoのネタバレレビュー・内容・結末

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

原題: Au revoir là-haut
英題: See You Up There

前知識何も無しに観たので、これが戦争映画(殆どの場面は戦後=第一次世界大戦)と分かった瞬間にまた今度にしようかと思ってしまいました。何故かというと、酷く疲れていたから。

しかしながら、観始めると目が離せなくなりました。

詐欺で取り調べを受けているアルベール。その取調室から本作は始まります。

戦闘場面はその後の部分少しのみで、帰還後の戦傷者のアルベールとエドゥアールを中心に物語は進みます。

戦死者への賞賛に比べて戦傷者への風当たりの強さ。何故なんだろう。理不尽極まりない…。

戦時中にアルベールを救った為、自分は顔の鼻から下の部分が吹き飛んでしまったエドゥアール。しかし得意のアートの才能で、自分の仮面を作ったり、戦没者の記念碑建立詐欺を計画したり…。

しかし…
自分に対して冷淡であった父親と和解した瞬間エドゥアールは飛び降り自殺してしまう。ああ、何故なの?仮面の中の潤んだ美しいブルーの瞳、父親の言葉に涙した彼なのに…。

冒頭のシーンに戻る。詐欺容疑で取り調べを受けていたアルベールであるが、戦時中のある事実を知った憲兵の計らい釈放され、愛する女性と戦後知り合ったエドゥアールのために尽くした女の子と共に旅立ってゆく…。

あってはならない戦争で、ある者は死に、ある者は生き残り…。生き残ったからと言って全て良しとなるわけでもなく一生心や体に傷を抱えて生きていく者、何とかして再び幸せを掴む者。そして死を選ぶ者さえも。

本作はIMDbでComedy, Crime, Drama, Warとカテゴライズされていますが、どの辺がComedyなのか私にはわかりませんでした。Happy Endingなのかどうかも。自殺したエドゥアールのことを思うと…。

反戦映画は人間の魂の美しさと醜さを同時に見せて、私たちに常に問いかけます。目を背けたい気持ちと直視せねばと思う気持ちとがないまぜになる。しかし結局観てしまうのは、残酷な事実・人生の中にも人間は希望を見出せると思いたいからではないでしょうか。
Hideko

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