コロン

天国でまた会おうのコロンのレビュー・感想・評価

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
4.4
戦争で手柄を立てることにしか興味のないプラデル中尉の裏切り行為のせいで大きく運命を狂わされたマイヤールとエドゥアール、この二人と彼等を取り巻く人々の波瀾万丈の群像劇。原作は本国フランスでゴンクール賞に輝いた傑作だが、先ず驚いたのは、映画が原作とかなり違っていること。映画では憲兵隊長に事情聴取されるマイヤールの供述という一人称でストーリーが語られるが、これがとても分かり易い。エドゥアールが催す、仮面を被った戦争責任者達を死刑にする反戦の想いを込めたパーティやマイヤールがプラデルと直接対決し、その結果プラデルが因果応報で穴に埋もれて絶命するシーンは原作にはないが、溜飲が下がる。エドゥアールの最期は、原作では相当ブラックだが、映画では、ペントハウスで青い鳥の仮面を被った男の瞳を見て息子エドゥアールだと確信したマルセルに過去の許しを乞うように抱きしめられた後、昂揚感と絶望感でバルコニーから飛び立つように身を投げる。哀しくやるせないクライマックスだがとても感動的。また、エドゥアールの心理を表現する多彩で華麗な仮面(特に青い鳥の仮面は圧巻)は映像ならではの説得力を持つ。全てが監督の素晴らしい手腕だと思う。エドゥアールの言葉?を通訳する少女ルイーズ、エドゥアールの良き理解者である優しい姉マドレーヌ、小心者のアルベールを奮い立たせるしっかり者の恋人ポリーヌ、3人の女性の明るくもしたたかな振舞いが、この悲劇に救いを与えてくれる。卑劣漢プラデルに背後から射殺された若き斥候が自分の息子だと知った憲兵隊長はアルベールを見逃す、という件は偶然が過ぎるとは思うが洒落ている。但し、 ルイーズがマイヤールとポリーヌと3人で新たな一歩を踏み出すハッピーエンドには違和感を覚えざるを得ない。何故なら、ルイーズが心を許したのはエドゥアールだったのだから。
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