エミさん

天国でまた会おうのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

天国でまた会おう(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

まず邦題タイトル、良いよねェ〜 , ・:*:・(*´▽`*)

物語はアルベールが詐欺罪で捕まって軍法会議にかけられている現在から始まる。。
ディテールの全てが綺麗でした。原作者のピエール・ロメールが大好きなんですが、この作品の原作は読んでおらず、知らないが故に展開に驚かされたり、主人公達が微笑ましかったり、よくこんなに綺麗に映像化したなぁ〜と感心しっぱなしで、飽きることなく楽しみました。

フランスにとっては大きな戦争である仏独戦争を経験したアルベールとエドュアールを主人公にして、戦争がもたらす陰と陽を描いたこの作品。第一次世界大戦から100年経った昨今、自然淘汰にならないように、この作品が日の目を見たのは意義深いと思いました。

五体生きて帰国できた者と、傷害を負って帰国できた者とでは大きな格差が生じる。アルベールは戦地で助けてもらった恩義で、顔や喉が焼けて障害になってしまったエドュアールの世話をするのだが、ケンカになった時につい「世話をしてやってるのに…」と言ってしまう。世間では仕事にあぶれて町の片隅でくすぶっている肩身の狭い帰還兵がゴロゴロ居る。好きな事を選び自由に生きたいと幼少期より父と対立してきたエドュアールにとっては屈辱的な発言であったであろう。
戦争は奪うばかりでいいことがない。貧富の差で人生がひっくり返ってしまうほどだ。そんな憤りを感じて、金持ちをギャフンと言わそうと詐欺を仕掛けるのが御曹司であるエドュアールなのがシュールだし、愚直に生きているアルベールにはその真意が分からないのは実に残念だなぁと思いました。

生きた時代が悪いと言えばそれまでだが、最後に父とエドュアールが再会し、理解し合えるシーンは唯一の救いでした。
「お前が正しかった。人は自由だ」
というエドュアール父のセリフが印象的。アルベールと新天地へ行くために落ち合う約束をしていたのに、バルコニーから身投げをするエドュアール。まるで呪縛から解放されたように綺麗な最後でした。どんな人にも家族はあり、そこから始まってまたそこへ帰っていく。別々の人生を歩んでいても、言葉や態度で通じ合えなくても、親子って何があっても切ることのできない揺るぎない何かで繋がっているもんなんだなぁと思わされて、思わずもらい泣きをしてしまいました。
そして、そこから繋がる冒頭のシーン。そのアルベールの軍法会議のシーンにも、まだ泣き所があったのですよ!!
この映画の出来事の多くが因果応報と思えるくらい腑に落ちる結末を迎えるので、見終わった後、納得してスッキリでした。

人の出会いや繋がりって意味があるんだなぁと思えるシーンでした。人は人との交流の中で成長する。良くも悪くも、その出会いに意味を感じられるようになったら、自分が人間として円熟している証拠なんだろうなぁと思わせてくれた作品でした。