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キューバ・リブレのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

キューバ・リブレ(2013年製作の映画)
1.5
【困惑の淵にたち憚るラスボス】
アルベルト・セラ特集上映『鳥の歌』には18分の短編映画『キューバ・リブレ』がついていた。公式フライヤーによると、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーと彼の映画の常連俳優であるギュンター・カウフマンに対するオマージュと書かれていた。

まあ、言われなきゃわからないだろう。確かに色彩は『ケレル』を意識しているとはいえ、変な音楽映画として観た方が良さそうだ。

やる気なさそうに、司会者が次のアーティストを紹介するところから始まる。歌手が出てくるのだが様子が変だ。具合が悪そう。そして拍手とともに、彼は歌い始めるのだが、トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンも首をかしげるぐらい、彼はグニャグニャ体を動かし、地面を這いつくばりながら歌う。それをゲイゲイしい眼差しで眺める観客が映し出される(まあファスビンダー的だ)。そして、ライブのクライマックスに近づくと、謎の真っ白おじさんが舞台に上がる。デュエットかな?と思いきや、何故かおっさんは歌手にボディタッチしながら揺れるだけ。そして、何故かカメラは白いおっさんを避けるように歌手の顔をアップで撮る。フォーカスは乱れ、幾ら何でもライブ映画としてアウトでしょうという程の混沌が歌手の微妙な歌声と絡み合い、そして映画は終わってしまう。

なんだったんだ、この20分。劇場の電気が付く前に、観客の何人かは困惑と怒りを抱えながら劇場を出ていく。正直、ブンブンも『鳥の歌』『キューバ・リブレ』のダブルパンチに困惑しか起きなかった。『ルイ14世の死』を来週に観るのはやめようとすら思った。

アルベルト・セラは困惑の監督であった。
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