クドゥー

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章のクドゥーのレビュー・感想・評価

4.5
『嘘がこの身を守るなら、心は何が守ってくれる』

女学生に扮したスパイチームの活躍を描くテレビアニメ「プリンセス・プリンシパル」劇場版全6章第1章は、ハリウッドのスパイ映画がままごとに思えるレベルでの戦術と戦略の超展開で、映画館における時間密度に一石を投じるスパイアクションのオールタイムベスト級。

アバンタイトルの超絶クールな救出ミッションの時点で鑑賞料金を回収してOPで突き抜けるが、核となる二重スパイ事案の盤上での読み合いがキャラクターを露わにする流れが見事で、最終的には嘘を重ねる人生への哀愁漂う濃厚なヒューマンドラマへと様変わりしている。

テレビシリーズのクライマックスを情報ではなく経験として持っていなければならない点はハードルは高いが、真実を知る者との牽制劇は映画の文脈では味わうことのできない程のスリルで、ここから第三国の介入によって三つ巴の展望を見せるとか生きる希望しかなかった。



鑑賞記録
2021.02.11
立川シネマシティast極上音響上映
→3館を通して分かる川崎の某館の専売特許であるはずの分離性、音響の構成要素を煌びやかに輝かせる表現力がまさに突出している。目に見えて良い音と感じられる音響体験。目に見えて鮮やかな色彩が格別の映像体験が待っている。

新宿バルト9シアター8
→あまりにも良く出来た脚本の答え合わせが面白すぎるため、劇場の脚色に意識が向かないことが最大級の褒め言葉。サウンドデザインの特性ゆえかT・ジョイよりもナチュラルボーンを感じる音響。傾斜が少し緩い以外は映写もグッド。

TOHOシネマズ上野8
→研ぎ澄まされた静寂はどんなに盛られた重低音よりも豊かな意味を持つニュータイプ。劇場音響としての破綻とスレスレの駆け引きを演じる初日からの超上級者向け上映。映写の微かな曇りを観て池袋6への想いを馳せてしまうけれど。

2021.02.19
チネチッタ川崎LIVEサウンドレーザー
→座席の関係もあるだろうが効果含めてフロント中心に豊かに鳴っており、作品のテイストと非常にマッチしている。即興ジャズのように時折低音を効かせてくる大人のサウンド。映像はクリアでありノイズでもある。

2021.02.28
グランドシネマサンシャイン6BESTIA
→しなやかに輪郭を保ったサウンドデザインに抱かれたような音がエッチ過ぎる。いつもはお隣のTOHOさんに求めている質感にここで出会えるとは。レーザー光源のコントラスト豊かな映像もキマってる。

2021.10.16
Blu-ray 日本語字幕
→劇場公開時に熱望した日本語字幕版は絵と声の芝居に加えて文字の色気。サウンドレンジが並みの劇場体験を遥かに上回っており、劇伴の盛り上げ方など某音響兵器も色々学んでほしい。映像のクオリティ上がっていないですか。
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