伊達巻

沖縄スパイ戦史の伊達巻のレビュー・感想・評価

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)
4.0
情報へのアプローチ力、真実への追求心がすごい。思い出せないほど色んな人の話が聞けたし見応えがあった。その点ふくめ演出だったりテレビ番組っぽいなと思っていたら監督二人ともTV局出身で納得。あくまでおれとかにとっての認識の話なんだけど「終戦の日」が何日かだなんてそういう議論ってあまり意味がないように思えてもしまう、78年前の今日8/15にポツダム宣言が受諾されて形式的に終戦を迎えてもなお敗北を知らされず懸命に国のためにと命を捧げた人たちのことを想うと遣り場のない憎しみと悲しみの念に駆られる、この沖縄戦がまさにそう、たかが10歳前後の頃に戦争を体験させられた人々の迫真の語りにはひろく私たちが共有すべき永遠の響きがある、今を生きる私たちには歴史を語り継ぐ責任がある、語り継がなかったのならそれもまた責任である。一体全体人類はいつまで争いを続けるのだろうか、安全保障のため、外交のため、突き詰めるところこれらに一体なんの価値があるというのだろうか、人一人の命よりも国の利益と安全が優先されるこの時代をいつか混沌と呼べる日が来るのだろうか、何十年、何百年、何千年と同じことを繰り返している、虐げられ、殺され、蔑まれ、絶望を耐え抜いたと思ったらまた悲哀、それでもまだ人々は戦争をやめない、出来事が無限に消費されていく。そんな鬱屈とした世界に咲く桜に死んだ仲間の名前を付けていく。戦争を忘れてはいけない。それは戦争の歴史を単に知ることだけを意味するのではないはずだ。戦争の記憶は、今も絶えず形を変えてもそこら中に残っているのだと真正面から教えられた気がした
伊達巻

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