yadokari

沖縄スパイ戦史のyadokariのレビュー・感想・評価

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)
3.8
陸軍中野学校出身のエリート将校が沖縄戦で地元の少年たちを組織して、スパイ活動やゲリラ戦をしていた。生存者の当時15歳だった人のインタビューは「リアル・エヴァンゲリオン」だった。戦後は精神崩壊を起こして座敷牢に閉じ込められたとか。村人をスパイと疑って斬首したとか。

最初はかっこいい頭も坊主ではなくポマードでオールバックにした制服も立派な兄貴分的存在で面倒見のいい将校に感化されていく。また村の青年団なんかは軍国主義的になっていく。そこに反抗的な者や外国帰りの者はスパイにされていく。あと軍の秘密を知りすぎた女子とか。

今の反基地運動の沖縄を二分するような、いや日本に従わざる得ない状況で、村人同志の対立や対立者をスパイに仕立てて排除してしまう。それと人民を守る戦争ではなく、国体を権力者のための戦争だということ。村人は邪魔な存在として、マラリアの島に隔離され亡くなっていく。

戦後、エリート将校が懺悔のために沖縄を訪問するのだが息子を亡くした母親に「どうしてあんたが生きているのか」と問い詰められた。それが沖縄の母の感情だろう。将校は毎年ソメイヨシノの苗木を送ったが根付くことなく枯れた。この話は日本と沖縄との関係を象徴している。
yadokari

yadokari