ていざむらい

アラジンのていざむらいのレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
4.0
アニメアラジン大好き人間ですが、このレベルの実写化、具体的に言うと映像の豪華さと俳優陣の歌唱力の高さは認めざるを得ないですよね。
ジーニーのフレンドライクミーだけはやっぱりアニメ版が良い、というのは譲れないんですが、冒頭のアラビアンナイト、アラジンのひと足お先に、アリ王子のお通りはむしろ実写の方が好きかもしれないです。ホールニューワールドは甲乙つけがたいですね、映像のアニメ、歌詞の実写という感じで…。先に言った三曲は歌詞もすっきりまとまってていい感じなんですよね。アリ王子のお通りに関しては文句なしに実写です、画面の迫力と華やかさで殴ってくる感じがすごい。フレンドライクミーはやっぱり、アニメ板のカオスな感じが「何でも出来る万能の魔人ジーニー!」を完璧に表してて好きなんですよね。実写の方はスタイリッシュにまとめすぎ&歌詞のそこはかとない歯切れの悪さが気になって……フレンドライクミーは「赤のコーナー!パンチは爆弾」とか「おちゃのこさいさいさぁ〜」とか「労働許可も持ってらい!」とか思わず首を傾げるような、勢い面白さを重視した整合性とかまるで気にしない謎歌詞でいいんです。ウィル・スミスは青くても素敵だけどちょっとかっこよすぎますね。演出もそれにつられてかっこよくなりすぎです。もっとはちゃめちゃやっても誰も怒らないと思います。

後はアニメ版との最大の変更点、ジャスミンについてですね。彼女が女王になる、という解釈はめちゃくちゃアリだと思います。動機的にも物語的にも不自然じゃないですし。ただ気になったのが、今作のジャスミンの象徴とも言える彼女の持ち歌、スピーチレスがもう浮きまくってることなんですね。幸いナオミスコットの演技力と歌唱力のおかげで、ジャファーに立ち向かうシーンは普通に感動する出来にはなってますが…全体として見るとどうもあの歌だけ本当に浮いちゃってて…曲調も歌詞も、古い考えに縛られないジャスミンを表してるのは理解できるんですが、もうちょっと他の曲との雰囲気に寄せて折衷っぽくできなかったのか……何回も言いますがそれを歌って演じたナオミスコットは素晴らしいです。彼女の実力がなきゃちょっと滑った感じのシーンになってしまっていたと思います。この映画の比率を表すと歌三割、映像二割、演出一割、ストーリー一割、ナオミスコット三割ですね。それだけ彼女素晴らしいです。

以上、映画というよりは劇中歌の感想でした。フレンドライクミーが合計で三回も流れて(メロディのみ含む)曲好きにはたまらない映画でしたね。いよいよ製作に入ったリトルマーメイド実写には今のところ期待と不安半々ですが、まあディズニーなら無難に楽しめる出来には仕上げてくるでしょうし、大人しく待つことにします。