Ellipsis

ペット・セメタリーのEllipsisのネタバレレビュー・内容・結末

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


!スポイラーアラートネタバレ注意!
オリジナル版との比較を含みます。
一応オリジナル版のあらすじで紹介されてる部分までしか書いていませんが、まっさらな状態でオリジナルを観たい方はご注意ください。


中盤からは怒涛の改変で攻めの姿勢を見せるリメイク版ペット・セメタリー。
オリジナル版を観てる人なら、思わず「!?」と目を疑うまさかのゲージくん生還ルート、そしてエリーちゃんの死。

これにはびっくり。
何といいますか、過去を変えるために未来からゲージくんを助けに来たけど、その代償として今度はエリーちゃんが死んじゃって、結局ペット・セメタリーからは逃れられない運命だった…的な時間旅行SFの気分でした。いやナニイッテンダコイツって話だけど。

さて、エリーちゃんの死が果たしてどんな結末を迎えるのだろうかと興味深く観ましたが、なるほど確かにあの芸当は幼いゲージくんには出来ませんね。フィジカル的に。

オリジナルでは、愛故に自然の理に挑もうとした人間の哀しさが印象的でしたが、本作は死者(悪霊?)の怒りにフォーカスし、極めてホラー映画的な終幕を見せます。
(オリジナルも描写されてないだけで、最終的にこの形になる可能性はありますけど)
死後の世界について議論を繰り広げた3人がまとめて蘇るという脚本の意地の悪さも嫌いではないです。いったいどんな答えを見たのでしょうか。

個人的に残念だったのは、幽霊だけど良いヤツランキング常勝無敗・パスコウくんの出番が大幅に減ってしまっていることです。
人種が変わった点から、最近のハリウッド感を感じます。現世にガンガン干渉していたパスコウくんですが、今風の本作ではギリギリ夢的な存在に押さえられている印象でした。

あと、旧パスコウ君は赤ハーフパンツが特徴的でオシャレ幽霊ランキングでも圧倒的強者だったのですが、ニューパスコウくんはわりと普通でしたね。ケガの具合は悪化して恐ろしさには磨きがかかっていましたが。

なんだかんだでパスコウくんってオリジナルでは印象深いヤツなんですよね。今回の空気化はやはりちょっと寂しかったな。あくまで個人的な意見ですよ。

代わりにと言っては何ですが、レイチェルのトラウマであるお姉さんのお話が強調されていましたね。
これがもう怖いのなんのって。お化け屋敷的要素まで付加されててビクッてなりました。
同時に、「死」ではなく、「生」という側面における、人の無力さ・運命の不公平さを感じさせるエピソードでもあります。

結局生者である私たちにとっては、生と死の謎というものは計り知れません。
全ての生き物に公平に与えられながら、その内容や時間はそれぞれ全く異なった形を持っているという事実と対峙するしかないからです。
子どもであろうと大人であろうと、これを受け入れることは難しいものです。
でももしその理を超える力があるなら、もしこの悲しみを癒せる力があるなら…

ずっと大事な人と一緒に居たいでしょうよ!!ねぇ!?

でもそんなことはあり得ないし、この映画のペット・セメタリーもまた魔法ではなく呪いでした。悲しくて仕方ありません。

今回かなり改変をくわえた本作ですが、ことの発端となるチャーチの一件まではオリジナルに忠実に進んでいきます。
(僕もペット飼ってるっていうのもあるのかもしれませんが)この件がしっかり描かれているので、やはりリメイク版もオリジナルと同じ悲しさを感じさせるのでした。そして相変わらず足首を心配にさせるジャド爺なのでした。
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