喜連川風連

七つの会議の喜連川風連のレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
4.0
ひと昔前なら、
日本映画俳優陣オールキャストで送る
と書かれただろう錚々たる顔ぶれ。
池井戸潤氏原作で、エンディングがボブマリー。主演:野村萬斎とくれば見るしかあるまい。
北大路欣也、鹿賀丈史、香川照之、役所広司まで出演する。
最強の布陣。
眼力勝負、演説、まゆの動き、ちょっとした表情の作り方。
それをイタいものにさせない野村萬斎の飄々とした演技。良きものをみました。

内容は池井戸作品共通の勧善懲悪なるものの、三菱のリコール隠しや隠蔽体質、パワハラ、数字主義、組織至上主義など、今をときめく問題がふんだんに散りばめられ、それが尺の中にバッチリハマっていて、気持ちいい。
娯楽映画として完成度がとても高い。

社内で展開されるパワハラ、過度な数字偏重の営業会社だと、原島さんみたいな
毒にも薬にもならない仕事ソコソコのタイプが結局出世していくんだろうな。

今天皇の下での会議を「御前会議」っていうのはシャレが効いてる。
希望的観測と組織の論理、空気による支配など
敗戦した戦前日本と根本ではなんにも変わっちゃないことを暗喩しているようで鳥肌が立つ。

そしてなんといっても
野村萬斎の口上のために全ての映像があったんじゃないかと思えるほどに、痺れるセリフだった。
のぼうの城でもそうだったが、この人の長ゼリフ、クソほどカッコいい。

時代劇が流行り、ヤクザが流行り、警察が流行り、
今のトレンドは企業ドラマだろうかな。

見終わった後、野村萬斎のようにポケットに手突っ込んで、大股で歩きたくなったのはここだけの話。

「さあ昼寝の時間だ!」
喜連川風連

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