結局カレー

七つの会議の結局カレーのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.3
2018年公開ということで半沢直樹の大ヒットから下町ロケット、陸王のTBSドラマ3作品を経て確立された「福澤克雄率いる池井戸潤劇団」のオールキャストムービーといった感じ。半沢直樹大ヒット5周年企画かと思った。

会社という組織の中で正義を貫くことの難しさをヒシヒシと感じるサラリーマンにとってはなかなかのドキドキムービー。自分の壁となり自分を評価し、まるで全てを握られているかのような「上司」という存在。その上司にもまた上司はいて、さらにその上司にも上司がいる。圧力が連鎖して悲鳴をあげる管理職と潰れていく末端社員を思うとワワーーーってなるしいかに半沢がクレイジーだったかがわかる。

企業における「責任」の恐ろしさ。成果を上げるためには手段を選ばず問題は部下に押し付けいかに逃げ切るか。御前会議の醜さったらもう。役者陣アッパレだわ。一体池井戸さんは銀行員時代にどんだけのものを見てきたんだか。ミッチーが箸休めポジでいてくれて良かったな、絶対に裏切らないでねミッチー!

池井戸作品で数々描かれてきたクソ上司ないしクソ野郎たち。毎週放送のドラマではそのクソっぷりを成敗する爽快さが魅力だっだけど、今作では「その”クソ野郎”たちはなぜ生まれたか」というクソ上司誕生の仕組みがわかる。今、上の人間にやんややんや言ってる我々だって腐った土壌に咲こうものなら決して他人事じゃない未来だと思ったな。

「全てのサラリーマンに問う」じゃなくて「全ての日本人に問う」なのよね。エンドロールで語られた侍の生き様は日本人みんな身に覚えがあるのでは。なかなか面白い日本企業エンタメでした。香川照之の顔芸を超えた断末魔は必見。