緩和ケアってどうしても=終末ケアと捉えられる人が多い。
病気との戦いをやめるような気持ちになる人もいるかもしれない。
私は家族を癌で2人見送った経験もあり、病院の在り方について、人間の死に方について考える時間が多かった。
病気は末期に近づくと、その状態がどれくらいで、その余命がどれくらいか専門医が知らせてらそれを迎える。
でも、それだけじゃない。
病気と戦うためにひたすら苦しい治療を受け入れるのだけが答えだと思う人がいる。
それって本当に正解だろうか?
QOLについて、本当に日本の医師が考えるようになったのはここ最近のことだという。
痛みでしかめているのなら痛みを和らげる薬が今はたくさんあって話し合いながら痛みを和らげて人間らしい状態を取り戻す。
それがQOLであり、それをサポートできるのが緩和ケア。
緩和ケアにギョッとしないでほしい。
怖がらないでほしい。
緩和ケアの医師は死を迎えるための存在ではないのだから。
医師が、患者さんに挙げたホームワークについてとても興味深いものがあった。
『死と関係を持つ事』
死が得体の知れないものだから怖いと思うけど、死に慣れておくのは意味があるのでは?という提案。
確信はないかもだけど、死はそんなに悪くないんじゃない事を伝えていた。
死は人間そのもの。
医学よりももっと大きな解釈で死も生命の一部。
口から食べなくなる事と眠れない、もしくは眠り続けるのが一番死に近づく事。
2人の癌患者を、見送った私が分かるのはこれだけ。
すぐ死ぬわけではなくてもなるべく楽な状態でエンドへ向かう手助けができるのが緩和ケア。
それを悲しいことだと思うばかりではなく、頑張って生きてくれてありがとう。
そう言ってあげたかった。
管につなげて無理矢理生かすことだけがいきぬことではなく、なるべく人間らしく死に向かわしてあげる勇気が患者の家族にも必要なのだと改めて思う、そんなドキュメンタリーでした。