010101010101010

パス・オーバーの010101010101010のレビュー・感想・評価

パス・オーバー(2018年製作の映画)
3.5
「ゴドーを待ちながら」におけるパスオーバーの不可能性と、スパイク・リーの描くパスオーバーの不可能性の違い。
リーはおそらく、ベケットによる権威や制度への鋭い批評性を評価しつつも、そこで描かれているのが白人的な世界観に閉ざされていることに違和感を覚えて、その形式を借りながら、ベケット的ユーモアを黒人の若者的ユーモアへと書き換え、社会で黒人の置かれるどうしようもない絶望的なリアルへと換骨奪胎した。この着眼がすごいなぁと思う。

スパイク・リーが描くパスオーバーの度重なる断念は、何よりも外的要因によるものだ。もっと具体的に言えば、白人の警察や不気味な差別主義者たちによる。
いやはや、最後の方は、見ていてキツいが、そこまで描ききらねばならないというスパイク・リーの切実な想い、怒りは健在だ。