アリスinムビチケ図鑑

Diner ダイナーのアリスinムビチケ図鑑のレビュー・感想・評価

Diner ダイナー(2019年製作の映画)
3.8
思った以上にダークファンタジーで、
全体的な絵面やバランス、色合いを意識した蜷川実花ワールド全開の美意識高い系アーティスティックシネマでした🌺


一言で言うと『殺しの国のアリス』♦️♠️❤️♣️
Alice in the Land of Killing


そこには燻んだフィルターを掛けた様な赤やパープルやブルー等の様々な色が溢れていて、
食材達も写し方によって毎回違った顔を見せるのだと主張してきます。

壁を飾る絵やオブジェ、
花瓶に生けられた花々やテーブルに無造作に置かれたフルーツ等の食材、
壁紙やカーテンの掛け方など、
無造作な様で緻密に計算された配置と配色のアーティスティックな空間。
同系色のグラデーションで纏めてみたり、反対色や差し色を入れてみたり、
まるで影の付け方、光の当たり具合まで計算されている様。

例えるなら造形を活かした生け花か印象派画家の描く絵画、
もしくは不揃いでだけど何処か調和の取れた旋律の独特な音楽。

まさに砂糖の一粒までもがボンベロに支配されたかの如く歪で完璧な世界。


この映画に何を求めるかで評価が分かれる作品の様な気がします。

リアリティーや迫力を求めると残念ながらここにそれは無く、
アートやファンタズムを求めるならそれは評価に値する…と言えると思います。


Dinerを飾る役割も担っているからか、
豪華絢爛な役者陣を贅沢な使い方で登場させては瞬時に消し去る。
勿体無い…と思ってしまうけれど、
殺し屋の集うDinerでは一瞬で果てる命だからこその美しさなのかも知れないですね。

真矢ミキさんがカッコ良くて素敵だったのと、
窪田くんの役が思った以上に良い人なのにびっくりして、
玉城ティナちゃんの見た目が不思議の国のアリスみたいに可愛いのと、
クワガタをパクリと食べる小栗旬さんが印象的で、
藤原竜也さんが思ったよりまともな役柄だったのに驚かされます。

自分的には、内容よりもクリエイティブでアーティスティックな部分に魅力を感じる作品だと思いました。


それにしても、こんなお洒落な空間のDinerが有ったら、
そこで誰かとカクテル🍸を飲みながらスフレを食べてみたいな💓なんて思っちゃいました🧁💕