クリーム

青の帰り道のクリームのレビュー・感想・評価

青の帰り道(2018年製作の映画)
3.7
高校を卒業したばかりの男女7人の試練を描き、皆、危うく誰が問題を起こすのか始終ハラハラした。ラストは、ありきたりだけど、それもリアル。青春群像劇としては、かなり引き込まれ、楽しめました。

歌手を夢見て上京するカナ。東京の大学へ進学しカナと暮らすキリ。カナの高校時代の音楽のパートナータツオは、浪人生活。地元でアルバイトをするリョウ。できちゃった婚をするマリコとコウタ。東京で大学デビューを果たすユウキ。群馬県前橋市で高校を卒業した仲良しの男女7人の2008年から2018年の10年間が描かれる群像劇。



ネタバレ↓



カナは歌手を目指し、キリの協力を経て、スターレコードの橘と契約。しかし、自分の歌は歌えず、ニンジンの被り物をしたCMキャラクター「無添加カナコ」としてデビューします。橘は、カナの思い描く歌手として育てるつもりはなく、カナは腐って行きます。
キリは、大学を辞めカナのマネージャーになり、その後カメラマンの男と付き合い同棲するが、男はDV野郎の詐欺師。
マリコとコウタは出来ちゃった婚の末、息子が生まれ順調に家庭を築きます。
タツオは、何度も受験に失敗し、引きこもりになります。
リョウは地元の悪い先輩達とつるみ銅線を盗んで転売し、タツオまで巻き込んだ。コウタと同じ職場をクビになり、東京の先輩を頼り、オレオレ詐欺をして稼ぎます。
ユウキは保険会社に就職しますが、仕事に上手く馴染めません。
そして、タツオが自殺した。
葬式に集まった6人。リョウとコウタが殴り合いの喧嘩をして、追い出された。
カナはタツオの事を裏切って自分だけ売れたとSNSで誹謗中傷され、酒に溺れます。
キリの彼氏が詐欺師として逮捕され、キリはカナに助けを求めますが、冷たくされ、田舎に帰ります。マリコ達の子供を預かった時、彼が高熱で倒れた為、タツオの父の病院へ運ぶとキリの母も昔、今のキリと同じ様に病院へ駆け込んで来た事、キリの手術費用を未だに払い続けている事等を教えてくれた。キリは母と和解します。
カナが自殺未遂をした。
タツオがカナの作った歌に詩をつけてアレンジした曲をキリから受け取ったリョウは、それをカナに渡しました。
キリが駆けつけ仲直りします。
リョウは橘を殴りに行きました。
2018年、タツオの誕生日に合わせ、6人で墓参りをします。通学路だった田園の一本道を歩いていると十年前の自分達に似た高校生のグループとすれ違います。
最後尾で自転車を漕ぐ、笑顔のタツオが映ります。おしまい。

あまり深く考えず、行動する彼等にハラハラしながら観ました。あんなんで成功したら、一生懸命やってる人達に申し訳ないと思う位、彼等は甘い。案の定、全員危なげ、自分の思い描いた未来像と違って行く自分に苛立ち絶望する。誰も深く考え無いで行動する面々が、上手く行かないのは当然で、その辺は凄くリアルで良かったです。かなり痛い授業料を支払った彼等だけど、タツオの死で、皆が自分と向き合い、再スタートを切る。ありきたりなのもリアルなのかも知れない。

※元々、高畑裕太が出演していて、例の事件もロケで前橋市を訪れていた時に起きて、映画の撮影は中断されたそうです。不起訴処分になりましたが、低予算で仕上げるしかなくなったらしいです。

*のんchan、ありがとう♡
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