ヨッシー

うちの執事が言うことにはのヨッシーのレビュー・感想・評価

うちの執事が言うことには(2019年製作の映画)
1.0
『小学生が作ったみたいなミステリー』

高里椎奈の同名小説を実写映画化。

烏丸家の新当主となった烏丸花穎は新たに自身の執事となった衣更月と共に烏丸家を狙う陰謀に立ち向かう。

監督は久万真路。
出演は『king & prince』の永瀬廉、清原翔など。

またしてもジャニーズ主演の実写化作品。今年だけで何本目だ?
もちろんジャニーズ主演の映画でもちゃんとした作品はそれなりにあるけど、基本的に役者でファンの人を釣ることしか考えてない作品が大半で、おまけにジャニーズであるが故の制約で作品が歪められてしまうことも多く、駄作になる確率が高いのがジャニーズ映画。

今回の『僕の執事が言うことには』もまさにジャニーズ映画らしい低クオリティっぷり。
主役の永瀬廉は大した演技もできてないし、作品全体も烏丸花穎というキャラクターを魅力的に描くのではなく、永瀬廉というアイドルをただ(上っ面だけ)かっこよく見せることだけしか考えてない薄っぺらいものでしかない。

何より本作が特に酷いのはミステリーとしてのレベルの低さ。マジで小学生が作ったみたいな適当な話になっているし、何よりミステリーとして成り立っていない。

例えば、最初のパーティでの事件。女性が女子トイレで殴られ、第一発見者の花穎が疑われてしまうわけだが、彼が容疑者となる下りもホント適当で、どいつもこいつも簡単に犯人の口車に乗るし、花穎の推理もかなり適当。
しかも、この推理は彼の能力でしか見抜けない色の違いを根拠にしてるから証拠としては弱すぎる。さらに、この後被害者の女性が自ら犯人を証言してくれるから花穎が推理した意味がなくなってしまっている。
もっと言えばこの被害者の女性はのちに正体が明らかになると、ここでわざわざ証言してくれたことに納得できなくなるというおまけ付き。

本筋の事件の方も似たようなもので、こっちも明確な証拠はなく完全な憶測を犯人に話しただけで犯人が自分から全てゲロってくれるという超ご都合展開。
もはや主人公の能力も事件解決にたいして生かされてないし、主人と執事の協力で真相にたどり着いた感じもほぼゼロ。

こういう推理モノは主人公がいかに様々な情報から真相にたどり着き、犯人を説き伏せるかが醍醐味なのにそれが全くない。もはやミステリーとして破綻している。

じゃあ、花穎と衣更月の物語としてはどうかと聞かれればこれも酷い。
花穎の烏丸家当主としての葛藤や成長が全く描けておらず、衣更月との主従の絆すらまともに描けていない。ていうか2人の仲違いの理由もガキみたいにしょうもないし、2人の和解の部分を丸々端折ってる時点でそこをちゃんと描くがないとしか思えない。

今回の黒幕的な人物の関しては動機はまだ理解できなくもないけど、花穎に復讐するのが目的の割にはなんか小さい嫌がらせレベルのことしかしてこないからどう花穎を破滅させるつもりだったのかイマイチわからない。
あの動機なら烏丸家を潰すとか乗っ取るぐらいのことはやるべきでしょ。事件のスケールがショボすぎる。

しかも、この犯人に対しての花穎の対応があまりにも中身のない偽善っぷりで本当にキツい。スリの件はまだしも自動車事故に関しては運転手死んでもおかしくなかったからね。そんな奴をあっさり許すとか理解できないわ。

原作は読んでないからどうか知らないけど、少なくともこの映画版に関してはあらゆる要素が低レベルでマジで褒められるところが皆無。ジャニーズ映画、邦画の悪いところが結集したような見るに耐えない作品だった。
今年のワースト候補です。
ヨッシー

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