幌舞さば緒

RBG 最強の85才の幌舞さば緒のネタバレレビュー・内容・結末

RBG 最強の85才(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

女性を男性と同じレールに乗せ、アメリカ人女性を取り巻く世界を変えた法律家、弁護士、連邦最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグのドキュメンタリー。


台詞メモ

「母からは2つの教えを繰り返し聞かされました。〝淑女であれ〟もう1つは〝自立せよ〟淑女であれとは、怒りなどの不毛な感情に流されるなということです。自立せよというのは、白馬の王子様と会って幸せに暮らすのもいいけれど、自活する力も必要だということです」

「幸運にも私は人生を歩む伴侶に恵まれました。同世代では本当に珍しい男性です」「知り合った当時、まだ18歳の青年でしたが、家庭でも職場でも女性の役割は重要であり、男性と同等だと考えていました。私が弁護士の資格を取った当時、女性弁護士は必要とされていませんでした。しかしマーティンは私の決断を応援してくれました」

「夫に出会い、素晴らしい人柄に惹かれました。私の知性に関心を示した初めての男性でした。50年代の男性としては珍しかった。悲しいことにコーネル大学の女子学生は賢さを表に出すことができませんでした。しかし夫は自身の能力に自信がありました。自分に満足しているので私を脅威だと感じることはなかった」

「マーティンとの出会いは人生で一番の幸運です。彼はユーモアに溢れた人で、私は堅物です」

「〝議論に勝つには怒鳴らないこと〟大声を出すと相手は話し合いに応じません」

「女性たちの多くは真実を理解していました。イカれているのは女性ではなく社会だと」

「初対面のルースは礼儀正しく、控えめで熱いタイプではなかった。会議中もあまり発言しません。核心についてのみ意見を述べ、些細なことには触れないのです」

「女性は職場で差別に直面しています。広くはびこり表面化しにくく少数派差別に匹敵する深刻さです。根底にあるのは女性が劣るという見識です。女性を守るためという口実により不当に扱われ高賃金の職務への昇進を拒まれます。家事と育児は女性の役割だとする考えが強い社会通念となり、女性を家庭に閉じ込めます。それは男性が活躍する場より劣ると見なされます」

「性による区別が平等違反になる可能性が高いことを示すため、1837年のサラ・グリムケの言葉を紹介します。奴隷廃止と女性解放で有名な人物です。彼女は言いました〝特別扱いは求めません。男性の皆さん、お願いです。私たちを踏みつけているその足をどけて〟」

「ルースが裁判で訴えたのは、性差別も人種差別も同じだということ」

「同じ議論を繰り返すことになると覚悟していました。何度でも。一度にすべてが変わるとは思いません。一般的に社会における真の変化は一歩ずつ起こるものですから」

「ルースは男女平等の概念を一歩ずつ築こうとしました。訴訟ごとに少しずつ物事を前へ進めたのです」「セーターを編むようなものだね」

「母の教えどおり怒りを静めます。怒れば自滅するわ。人に何かを教える時と同じですよ。自分を幼稚園の先生だと考えました。判事たちは性差別が存在しないと思っています。彼らの心に訴えたかったのは自分の娘や孫娘がらどんな世界で暮らしてほしいか」

「性別による区分は女性を後押しするのではなく、檻に閉じ込めます」

「原則として妻は僕に料理の助言はしない。僕も法律の助言はしない。これで互いにうまくいく」

「父は社交的で愉快な人だったので母の生真面目さを和らげてくれました。みんなが助かったんです」

「食事も睡眠も必要だから悪いアドバイスじゃないよ」

「夫が弁護士になり昇進を目指していた頃、家事の大部分は私が担っていました。女性運動が盛んになると夫は私の仕事の重要性に気づき、私の仕事を最優先させるようになりました」

「娘のジェーンは満面の笑顔で記者に語りました。〝私が育った家庭では義務を平等に負担しています。父は料理担当で、母は考えるのが仕事です〟ルースはキッチンに入れません。味にうるさい子供たちの要求です」

「男性と平等であるために重要なのは、女性が自分で決断を下せるかどうか。自己決定は女性の人生や尊厳の核心にあるものです。政府がその決定に干渉するなら女性を責任ある大人として扱わないことになりますし、判断力を奪ってしまう」

「私たちは毎日、法廷に入る前、部屋の中を移動しながら全員と握手をして回ります。法廷でいい仕事をするには同僚との協調が重要なので、互いをを尊敬し、好きになる方がいいのです」

「おふたりは正反対の視点で国を見ています」「〝おかしな2人〟と読んでくれ」「とても愉快な人なのよ」「彼女はいい人で、オペラが好き。嫌う要素がない。法の見解は別だが」

「スカリア判事の信念は〝憲法は条文の文言どおりに読むべきである〟つまり、憲法に書かれた内容は、制定時の言葉の意味のまま解釈すべきである」

「つまり200年前の人の考え方に従えとおっしゃるの?」「考え方ではなく、当時の人々にとっての意味を大事にすべきです」「今は反対の意味かも」「反対だと思いたがる」

「憲法は完全なる共同体を目指そうとするものです。1787年の〝我々〟とは誰でしょう。あなたは含まれないわ。アフリカ系の人も入らない」

「ルースは公私の切り替えが上手です。極端な価値観を持つ人とも親しくなれる。女性や同性愛者を軽視する人とも」

〝愛しいルースへ。人生で愛したのは君だけだ。両親と子供たちと孫を除いてね。君が法曹界の頂点へ登っていく姿を見られて満足だ。愛と尊敬の念は56年前、初めて会った時からずっと変わらない。人生を終える時が来た。体はすっかり衰え、辛くて仕方がない。僕が何処へ行くのか君にも分からないだろう。君を愛している。これからもずっと〟

「出会いは1950年のブラインド・デート。実は相手を知らなかったのはルースだけ。私が仕組んだ。彼女を誘うよう友人に頼んでおいたのです。私はルースの魅力を敏感に察知し、2回ほどデートしてさらに気づきました。ルースの賢さにね。その後53年経ったが何も変わらない」

「〝ノトーリアスRBG〟の由来を知っているわ。ラッパーのノトーリアス・B.I.Gからよね。人は不快に思わないのかと質問するわ。〝ノトーリアス・B.I.G〟が由来だなんてと。不快に思うわけないわ。似た者同士だもの。まずは私たちはどちらもブルックリン生まれよ」

「ガンにかかったことで私は生きている喜びをより強く感じます」「化学療法を終え、筋肉をつけ体を鍛えたいと。まるでサイボーグみたいですよ」

「私は全力で働ける限り、今の仕事を続けます。けれども…それが無理になればこの座から降ります」

「偉大なるラーニド・ハンド裁判官は言いました。憲法に命を吹き込む自由の精神は何より優先されるべきだ。それは偉大な国を形成する男女の心の中にある。社会は小さな声にも耳を傾けるべきである。大きな声と同じくらいに。私はこの知恵を心に刻んで判事の職務を全うしたいと思います」
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