あーさん

RBG 最強の85才のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

RBG 最強の85才(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

最近多忙で、観たかった今作も諦めようかと思っていたが、、
これだけは見逃してはいけない!とそんな気がして、なんとかやりくりして観に行ってきた。

観に行って良かった。。
心からそう思えた。

ルース・ベイダー・ギンズバーグ(通称RBG )は、1933年ニューヨーク州 ブルックリン生まれ。
ロースクールのプロジェクト研究員・副所長、ロースクール法学部教授、ACLU及び同団体理事会主任顧問弁護士…等を経て1993年女性で史上2番目にビル・クリントンによって最高裁判事(9人のうちの1人)に任命され、以来86歳の今も現役で務めている。

アメリカでも10年ほど前まではあまり知られていなかった彼女が、なぜ今こんなにもブレイクしているのか?
このドキュメンタリーを観れば、その謎が解ける。

女性としても法律家としてもとてもリベラルでユニーク、一本筋の通った彼女の生き方は興味深く、ずっと画面に釘付けになって観ている私がいた。。

何なら冒頭、ジムで筋トレしているルースを見ただけで、10秒で彼女が大好きになった。
仕事をし続ける為に80代の体に課す日課。
何だろう、、佇まいというか、強い意志が体から滲み出ている。

凄い人だ。。

面構えだけでもわかる。
数年前に亡くなった祖母に似ている。
決して何者にも屈しない、自信のある人の顔。
そして、それは私が持ち合わせていないもの。。

幼い頃から長女として期待されて生きることを重荷に感じていた私の目標は、"普通の人になること"。いわゆる反動だ。。
人は自分のなりたいものになるべきで、誰かにレールを敷かれるものではない、と思っていた。
人と競うことが苦手でおとなしかった私は、"何かやるなら一番になれ!"という父の強い教えが堪らなく嫌で、どうしたらそこから逃げ出せるかばかり考えていた。
マイペースで人に譲ってばかりの私のことを、父は歯痒く物足りなく思っていたことだろう。
親を満足させられない自分も情けなく、かといって親の言う通りにはしたくなくて、大人になるのが嫌で仕方なかった。

そして、音楽や文学、、夢の世界に逃げ込んだ。

そんな私が、大人になって思うこと。
ごくごくささやかな普通の人生も良いけれど、やっぱり何者かになろうと努力している人は魅力的で、向上心があった方が人生は充実している、ということ。

一つのことをやり抜いた人は素晴らしい。

父に似なかった私は人一倍引っ込み思案だったけれど、自分の権利は自分で勝ち取らなければ始まらないことを父から、世知辛い世の中から、そしてルースからも学んだ。

ルースの勝ち取ってきたもの、、
男子大学の女性排除、男女の賃金差別、投票法の撤廃、、一つ一つの裁判の内容について解説されるので、彼女の足跡と共に如何に社会的に弱者が虐げられてきたかがよくわかる。今では女性の活躍が日本よりも進んでいると思われるアメリカでもそうなのか、、と改めて感じる。ガラスの天井、、今だに言われる言葉。
女性、マイノリティや不当な差別に苦しむ人々に寄り添い、権力にも物怖じせずに斬り込む姿勢は、尊敬に値する。
主に女性の権利の拡大に、大きく貢献したといえよう。
更に彼女の魅力的なところは、お笑い番組等で自分のことをデフォルメしてモノマネされても笑い飛ばせるところ。
真面目でひたむきなだけでなく、とてもユーモラスでチャーミングな一面も持っている。

そんな彼女を支えているのは、同じ法律家の夫マーティン氏。彼がいなければ、ルースの今はなかっただろう。
学生時代から性格は正反対のカップルだったけれど、自然にお互いを補い合い、良い所を活かし合ってきた理想の夫婦。

仕事にのめり込みがちなルースに対して、料理などの家事を進んでこなし、ちゃんとした生活をするようマネジメントしてくれる素晴らしい夫。そして、優秀な妻を対外的に売り込むことも忘れない。
勿論、同じくロースクール出身の彼も有能な弁護士として活躍していたのだが、彼は妻の仕事の為に住む場所を移すことも厭わなかった。
簡単なことのようで、なかなかその時代にサポートに回ってくれる男性がいたかどうか。。二人のお子さんも立派に育て上げている。
ルース自身が"マーティンとの出会いは人生で一番の幸運です。"と言っていることからも、二人がかけがえのない夫婦だったとわかる。

家族、友人、同僚らがルースについて語るのを聞くうち、彼女は凄いスーパーウーマンでありながら、同時に謙虚で控え目、自分をよく知る人なのだと思った。

仕事のできる女性の悩みとして、家庭との両立があるけれど、ルースの場合は本当に配偶者に恵まれ、そして本人も認められるよう努力して、一つ一つ獲得していったのだなぁと思う。

趣味のオペラの話や、保守派の同僚との微笑ましいエピソードも素敵だった。

誰もが真似できるものではないけれど、、諦めなければ道は拓ける!とちょっぴりRBG節をきかせたくなった。。


余談になるけれど、あまりにも感動したので今作を闘病中の父に薦めたら、(病人なのにフットワークが軽い!笑)
"早速観てきました。良い作品を教えてくれてありがとう。同じ法律家として共感を覚えました。"と返信があり、、
年月を経て少しずつ、親子間で頑なだった心も解け、近づけていることを感じた。


ジェニファー・ハドソンの♪ " I'll Fight "が
またイイね!
絶賛 エンドレス・リピート中。。


もう一回、観に行こうかな〜
あーさん

あーさん