ゴン

ヴァンサンへの手紙のゴンのレビュー・感想・評価

ヴァンサンへの手紙(2015年製作の映画)
5.0
間違いなく映画館で見られてよかった映画!「ろう者の家族でも、研究者でも、手話通訳者でもなんでもない、ただの聴者」である監督が純粋な好奇心だけでろうの世界に飛び込んだ、っていうのがいいなあ。私もなんでもないただの聴者だけど、自分の知らない、複雑で豊かな世界が広がってるって分かったらそりゃあ見たい、知りたい、感じたくもなる。
ろうと聴の2つの世界がある、っていう認識は、親子間で異なる世界を生きなきゃいけない人にとってはやっぱり酷だろうなあと思う。でも、違いを認識することで初めてそこに橋を渡す努力に向かっていくわけだから、必要な痛みでもあるんだと思っちゃった。
全編通して、手話劇に歌をつける試みに象徴される「橋渡し」的な示唆に満ちてて、ろう者の立場に寄り添いつつもどの価値観も否定しない、ジャッジしないということに細心の注意を払ってるのがよく分かった。繊細な映画!
さらにはその繊細さの構造的なカラクリについてパンフレットでかなり詳しい言及があって、こんなこと教えてもらっちゃっていいんですか!?!?!って感動しました…。パンフレット最高!コンパクトでキュートで欲しい情報が大体載ってて、充実の監督インタビューまで!なによりモノとして可愛いがすぎる!永久保存版パンフです!
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