とらキチ

魂のゆくえのとらキチのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
4.4
ひたすら苦悩し、眉間の皺がドンドン深くなっていくイーサンを愛でる…第一義的にはそんな作品か。
純粋に人として全てに対して誠実でありたい…ただそれだけなのに、世の中なかなか一筋縄ではいかない。こんな状況、相田みつをなら「人間だもの」の一言で済むけど、ポール・シュレイダーが語りだすと今作のようになる、という事なのだろうか。
ある意味宗教に近いとも言える昨今の環境保護活動や、宗教の枠を越えて巨大な集金システムと化している“メガチャーチ”の有り様など、歪みに歪んだ現代アメリカを鋭く突く描き方がいかにもポール・シュレイダー。
終盤の展開、流れもいかにもポール・シュレイダー。ひたすら内省的に思い詰め、エスカレートしていくサマが、本当にたまらない。そしてあらゆる感情が交わり、極みに極まった境地の末に訪れるあの結末
“愛は全てを救う”
それこそが彼の信念なのだろうなぁ…。
とらキチ

とらキチ