Wakana

魂のゆくえのWakanaのネタバレレビュー・内容・結末

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

良心の呵責に苦しむ人の話。“first reformed”とはどの地点を指すのかがいちばん気になる。

アマンダ演じるメアリの部屋にあるランプがどうもエクルバーグ博士の目を彷彿とさせて、あそこで何かを目撃しているとしか思えない。あの部屋でイーサンもといエルンストの引用した聖句(マタイ12:37)がなかなかスパイスが効いていて、そういえば彼はカウンセリングのときからずっと自分の言葉で自分の首を絞めていることを思い出す。死んだ息子のヨゼフが入隊するときもしんどいことを言っていた。
劇中、彼は拝金主義的な社会やそれがもたらす環境破壊のことで心を痛めて、なんとか非難しようとする。でもエルンストだって矛盾でいっぱいで、例えば止まらない飲酒やそれを隠し体面を取り繕ったり、彼を慕う同僚を冷たく傷つけたりしていて、しかもそのことで心を痛めることがないんだよなあ。
それらを考えるとラストの有刺鉄線(いばらの比喩?)の自傷行為から一連の流れが自身をキリストとなぞらえてしまう傲慢さを表しているような気がして、単純にラストに“reformed”が待っているように見えない(それか救われたいという強固な気持ちのあらわれとして見るべき?)。
そういえば学部の講義のエサウとヤコブ(ヨゼフの父)の回で、一見して悪に見えても神は己の計画を実行すると教わった。これはアバンダント・ライフのジェファー牧師と同じセリフだから、そうだとしたらエルンストの解釈がさらに悲しくなってしまうけど。

とても面白かったけど整理がつかないことがありすぎる。もう少し時間をおいて、いろんなレビューを読んでからまた見たら新しい発見がありそう。
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