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Raazi(原題)のBaadのレビュー・感想・評価

Raazi(原題)(2018年製作の映画)
4.5

インド映画372本目は女性監督によるスパイ映画。
フィルムフェア賞作品賞・監督賞・主演俳優賞(女性)その他受賞。

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小動物も殺すことの出来ない女子大生が、第三次印パ戦争(バングラデシュが独立した戦争)を前に、父の希望もあり祖国インドを守るためパキスタン軍の高官の家庭に嫁として入り込み諜報活動を行う物語。
原作もある実話ものということですから、本当だとしたら驚くべきことです。

というわけで、サスペンスですが、スパイものから連想される派手さはありません。
淡々とした美しい画面で生活が綴られ、生活の中にあるスパイ活動という感じです。
いわゆるマサラ映画でもなく、まじめな映画です。

主演は今飛ぶ鳥を落とす勢いの若手女優アーリヤー・バット。監督はメグナ・グルザール。作詞家、詩人、映画監督として名高いグルザールの娘です。前作の未解決事件を題材にしたドキュドラマはNetflixにも入っています。

この映画では父親はカシュミール地方の裕福な商人でイスラム教徒。パキスタンの軍人家庭とは友人同士でお互いに信頼もあり、ヒロインも結婚もちゃんとして、夫もとても良い人で、ちゃんと夫婦間に愛情もあるんですよね。(夫役のヴィッキー・コウシャルは今売り出し中の新進スターですが、演技派で誠実そうでハンサムで大変好印象。)
日本で報道されているような一般的な印パ関係のイメージとだいぶ隔たりがあります。

あと、カシュミール地方の特産物であるカシミアのショール(手の込んだ刺繍付き)をアーリヤが着こなしているんですが、とっても美しいです。それ私に全部下さい、って言いたくなります。

とはいえ、祖国を守るための真剣な情報収集。すべてが祖国ファースト、スパイ組織はやはり非情、ということで、すべて納得ずくといえ、思いもしない結末が待っていたりします。

高品質な社会派ドラマです。

このところ第三次印パ戦争がちょっとしたインド映画界のブームらしく、この映画祭(ICW)では旧作『ならず者たち』がその時代、印パ戦争の潜水艦戦をあつかったGhazi Attackが昨年ヒットしました。
後者は邦題「インパクト・クラッシュ」で(バーフバリのラーナー・ダックバディ出演)DVDスルーで日本でも10月に販売されます。

原題:Raazi
Space Box上映会 英語字幕

(素人女子大生スパイの顛末 2018/9/9記)
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