人はここまで残酷になれるものなのか・・
これも語り継がれるべき負の遺産
加害実態の貴重な証言
各々立場の違う14人の中国での実体験
一つ一つが非常に重く衝撃的で、ありとあらゆる残忍な行為が行われていた
虐殺された犠牲者の正確な数は問題ではなく、実際に行われていたということが重要なのだと思う
上官命令ということで、当時は彼らの殆どに罪悪感は無く、全ては国の為、天皇の為
素直で従順な人ほど馴染んでいってしまったのかもしれない
部隊内での容赦ないイジメもあり、残忍さがエスカレートしていったことも想像に難くない
様々な拷問と処刑はまさに地獄絵図
現地部落を襲撃、略奪し燃やし尽くす
衣服を剥ぎ、銃剣や竹槍で突く
当然レイプも常態化、本来軍法会議ものだけど見て見ぬふり
競争の心理も働き何人殺害したかを競う
「母子と井戸」の話は特に胸が痛くなり涙が溢れ出る
731部隊では、細菌兵器の開発、生体実験、解剖後は焼却
陸軍病院では、生体または献体として軍医や看護師の様々な手術練習に利用された
軍が組織的に行った強制連行も存在
それは"労工狩り"と呼ばれ、人を人として扱わず家畜もろとも包囲し一度に数百名が拉致された
その他、人間地雷探知やカニバリズム等、悍ましい所業は枚挙にいとまがない
自分がもし現場にいたら無実潔癖でいられただろうか・・
当時の教育、世相に加え戦時下の状況で明確に拒否出来たとも思えない
事実、周りと同調せざるを得ず、皆思考停止に陥る
証言と証言の間には当時の新聞記事が写しだされ、時系列で情勢や戦況をわかりやすく説明してくれる
視聴して一日経った今も胸のつかえが取れないでいる
これらは程度の差はあれ他所の国でも行われていたこと
戦争は命を軽いものと麻痺させ、人の奥底に秘めた残虐性を呼び起こす
彼らを英雄視などできたものではないが、犠牲を払い勇気を持って証言してくれたことには敬意を表したい
証言者たちは中国の戦犯管理所に6年間いたことで"洗脳"だという向きもあるが難しいところ
だけど、証言には説得力があり事実と受け止めざるを得ない
監督も真摯なドキュメンタリー制作を心得ており"見るべき作品"であるのは間違いない