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CURED キュアードのGTのネタバレレビュー・内容・結末

CURED キュアード(2017年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

 世にも珍しいゾンビパンデミック「後」を描いたゾンビ映画。
 人間をゾンビ化させるウイルスがアイルランドで発生。このまま世界滅亡ルートかと思いきやこの映画では治療法が早期に発見され感染者の75%が完全に治癒されるに至る。ここからの問題がこの映画のテーマで、元感染者たちは感染時に自分が犯した行動や世間からの差別に苦しむ。映画の主人公であるセナンもその一人で、弟のルークを感染時に殺害していた。ルークの妻であるアビーがセナンを引き取ってくれたものの、その事を言い出すわけにはいかず良心の呵責に苦しむ。一方セナンの友人であるコナーは、軍や世間からの冷たい仕打ちに業を煮やし、反乱を起こすことを決意する。
 ゾンビ映画という皮を被った社会派映画で、今現在どこかで起きたか、あるいは今まで起こったことがあるのではないかと思わせるほどに、展開にリアリティがある。アビーは「自分の夫を殺した人間を許せるか」という質問に対し、「病気だから」と答えるが、いざセナンがそれをしたと判明した時、取り乱して彼を追い出してしまう。ルークは「俺こそが家族だ」とセナンに言う。当事者同士以外は、所詮分かり合えないとでも言うかのように。
 戦争があちらこちらで起こっている現在、「人間の関係」というものを見つめるうえで、非常に示唆に富む作品であったと思う。ただ、ラストの尻切れトンボ感は微妙だった。
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