このレビューはネタバレを含みます
これは珍品の部類に入る映画では。それとも、インド映画ってこんなもの?
前半は難聴をネタにしたラブコメがダラダラと続く。インターミッションの後は、政治劇の色を帯びてきて、その後は復讐譚に転じ、最後はミステリー調。なにを観たのかよくわかんなくなる。
村人を食い物にするプレジデントと「ソサエティ」なる組織が、カルト風味も含めて、本邦政府を彷彿とさせて、まったく笑ってる場合じゃない。搾取されている側なのにプレジデントを支持する輩とか、ネトウヨか。
かと言って「民主主義とはなんぞや?」ってとこは深掘りしない。その背景には、かの国のカースト制度がある(村人たちは低いカースト)と示唆する場面もあり、民主主義とかいう以前の問題が根深いからかもしれない。
観る前の印象とは違って、主人公のチッティがかなりの問題児で、粗野で喧嘩っ早いうえに、加減を知らない。考えも浅はかで、村を救うために立ち上がった兄ちゃんの足を引っ張ったりもする。
さらに、見栄っ張りで、村中が彼の難聴を知っているのに「オレが難聴だってバレるやんけ」と補聴器を拒絶。
途中、暗殺軍団に単身対峙する場面があるんだけど、執拗に相手の息の根を止めようとする。「こいつちょっとヤバくない?」とその時点で感じたんだけど、ラストまで観て「こいつサイコ野郎だな」と確信した。
「おもしろければいいじゃん」という制作サイドのノリがこういうとこにも出てるわけだけど、それをどう受け止めるかで、この映画の評価は変わるんだろうなぁ。
そう言いながらも、ラストは陰惨。なんだ、こりゃ。
本筋とは関係ないダンスシーンは、インド映画の醍醐味なので、そのせいで尺が長くなっても、文句をつけてはいけない。実際、観てて楽しいし。きんぴかクイーン最高。
あと、南インドの風習が描かれているのは、とてもよかった。これも、本筋とは関係ないけど。