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ランガスタラムのokappaのレビュー・感想・評価

ランガスタラム(2018年製作の映画)
4.1
舞台はインドで、踊るし歌うけど、ストーリ自体は重めのサスペンスだった。序盤からわりと不穏で、悪意がラストまで駆け抜ける。地上波や雑誌やオンラインなど、かなり楽しい場面を凝縮して宣伝してるんだなと思った。

チッティ・バーブが難聴であるという設定を物凄く上手くストーリーに活かしてる。というか、設定を基にストーリーをつくったのかな。ラストに向かうにつれこの設定がどんとん重くなる。

3時間あるが、終始不穏な空気を漂わせ飽きさせない展開と、チッティ・バーブの表情や内面の動きが大変素晴らしかった。合間にいい感じに歌とダンスが入るので、緩急付けと鑑賞側のメンタルケアになってる気がした。

根は悪くない素朴な村人たちと、彼らを虫ケラ程度にしか認識していないいわゆる特権階級の人々との対比が明確に描かれている。変えられない身分と貧困差を打ち壊すには圧倒的な暴力しかないようにも、思えてしまう。こういったカーストを問題視する作品わりとあるし、ビッグスターが出演してたりするけど、現在あらゆる面でパワーを持つ特権階級にとっては変える必要はなく変える気はないから難しいのだろうな。

本作は1980年代の出来事と冒頭でアナウンスが入る。本作はフィクションだが、似たような事件は起こり人々の置かれた苦境も事実に近いのではと思う。それが垣間見えるので、より恐ろしい。

恋愛導入あたりは大変華々しいシーンが多く女性にフューチャーするが、成就した後やストーリーが進むとヒロインが空気になってしまうのはインド映画あるあるなのかしら。ここまで観てきた作品わりとそういうの多いのだけど…。

いわゆるインド映画らしさはあるが、インド映画を普段観ない人でも映画好きなら楽しめるのではと思う。
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