落とされた弾頭の本質は、何かと水平にもならず交差もしない視線の果てにあるのかもしれない。
二人だけの秘密を守ることは、かつて遥か海の遠く、空の上から向けられた殺意に想いを馳せることに似ている。
正義も保身も安寧も瞬く間に葛藤に引きずり込まれる。
巨大な沼の向こう側まで泳ぐことを強いられるように。
葛藤だけを持たない男は視神経の破壊を、神経質に、儀式的に行う。
くり貫かれた眼球の向こう側にある、巨大な虚空に吸い込まれるかのように。
多すぎる視線を間引くように。
狼という種は、生き延びるには繊細過ぎたのかもしれない。
交差しない視線の果てで落とされた弾頭
交差しない視線の距離の隙間で踊る人間
視線の根元にある沈黙
歌詞のないレクイエム