ボギーパパ

孤狼の血 LEVEL2のボギーパパのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.2
劇場2021-55 TJ品川

2018年第1作から3年 LEVEL2とはカッコいい

白石和彌監督作品 白石作品はとても好きで特に『凪待ち』が好き。人の撮り方が好きで、まさに「姿」の輪郭を俯瞰的に撮り、内面を少ない台詞で浮き彫りにするような気がしてならない。ハンディカメラで寄る絵も良いですね

前作では大上の死後、一気に加速をつけ成長?した日岡の姿の描き方と、失踪後の「そこに居ない」大上の描き方が素晴らしかった。配信で見直して改めてそう思う。
本作はその後日譚。レベルはどこまで上がったのか?

設定として日岡が3年間、呉原と広島の抗争をタイトロープながらも収めている状況。そこに服役していた五十子組幹部の上林(鈴木亮平)が出所。一気に均衡が崩れ修羅の道へと突き進むストーリー。

この上林、ヤバい。武闘派も武闘派、完全にイっちゃってる。鈴木亮平は同時にドラマで超正義感の強い役演じている最中の公開なので、恐ろしいほどのギャップに苛まれる。眉を薄くし、パンチパーマ、そしてあの尖った耳がまさしく悪魔の印象を植え付ける。髪のカット方法が耳の尖り方を誇張するだけでなく、その上メイクの凄さは並ではない。
またこの上林の通った跡、ゴア感バリバリ全開の犯行の数々。これも並ではなくかなりの恐ろしさ。特に冒頭のシーンでのこれでもか的な人でなし演出は彼と、その後のストーリー展開を印象づけ、予測させるに恐ろしいほどの効果をあげている。

日岡演ずる松坂桃李も前作とはうって変わったやさぐれ感。線は細いものの芯がある演技は好感が持てる。

脇を固める親分衆の配役、その演技も秀逸。宇梶さん、寺島さん、そしてかたせの姐さん、更に金子信雄を彷彿とさせる吉田鋼太郎!(とはいえ今回はこれらの存在感ある親分衆も完全に脇に追いやったのは鈴木亮平だなぁ)虹郎さんもタイトロープなポジションを熱演。素晴らしかった。

しかし、こういった存在感も素晴らしいが、ストーリー展開において最も重要な役割を果たしたのは中村梅雀&宮崎美子(^^)特に宮崎美子。そこまで〜?
事前に正直に伏線を張られていたにも関わらずまんまと欺かれました。脚本、演出の凄さ!恐れ入りました。

そして東映さんのヤクザ映画をほぼ正確にトレースしたあのナレーションも効果的。作品にアクセントを加え、寧ろ厚みが増す。

ラストもある意味印象的。幻の、、、と日岡の身を重ね次への予感を醸し出す。2時間半全く緩んでいないのもスゴい!
次も期待したい。オリジナルありだし、おかわり希望です♪
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