くまちゃん

孤狼の血 LEVEL2のくまちゃんのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.5
前作「孤狼の血」は極道と警察組織の駆け引きや政治的な部分が強く、細かい改変はあるものの大まかには原作に近い内容であった。
対して今作は、血を血で洗う暴力描写が多くバイオレンスに全振りした韓国ノワール色強めで、ヤクザ映画からクライムアクション、バイオレンススリラーといったジャンルそのものが変わった印象を受けた。

「孤狼の血」の主人公の一人大上はヤクザと警察紙一重の存在で、自分が抗争の抑止となるために、経験則と処世術と勘をフル活用する、不良でありながら優秀なマル暴刑事として描かれていた。

今作の主人公日岡は大上の弟子的な存在であるのにも関わらず、行動のほとんどが空回って最悪の結果をもたらしてしまう。
大上を継げていない、と感じる部分もあるが、継げていないのが正しい日岡の人物像だと思う。
なぜなら原作の日岡の人物像との乖離はさほど感じられなかったから。

経験から柔軟に対応する大上に対し
日岡はそもそも大学出のエリートで
真面目で、行動の前に一度物事を頭で考えてしまう。
だから結果的に本能で行動する上林に追いつけず後手に回ってばかりいる。
大切なものを失う悲劇を招く。

原作三作目「暴虎の牙」の中の日岡に感じた鈍臭さと同じものを映画でも感じた。

語ろうと思うといつまでも語ってしまうタイプのバイオレンス映画
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