真一

孤狼の血 LEVEL2の真一のレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
4.6
警察、ヤクザの
行動原理と
日本社会の闇を
深掘りした大傑作。

名作「孤狼の血1」を
上回るかもしれません。

表のテーマは
警察腐敗。
裏のテーマは
在日コリアン差別。
空前絶後の
凶悪ヤクザを演じるのは
鈴木亮平。怖すぎます。

また「孤狼の血1」を
観た方は、松坂桃李演じる
日岡が、ありし日の
不良刑事ガミさん
(役所広司)そっくりに
「成長」したことに、
感慨を覚えるでしょう。
魂を揺さぶられます。

凄惨なグロシーンあり。
未見の方はご注意願います。

舞台は再び広島。
武闘路線からビジネス路線に
転身した五十子会に
異変が起きる。
冷酷で獰猛な殺戮マシーン
上林( 鈴木亮平)が服役を終え、
ヌーッと組本部に
姿を表したのだ。

※以下、ネタバレ含みます。

上林はたちまち
主要幹部を
血の海に沈め、
五十子会を牛耳る。
尾谷組との停戦協定を
破棄して全面戦争を
引き起こし、尾谷組に
殺害された五十子会長の
仇を取るのが目的だ。

対応を迫られたのが、
広島県警呉原署の
刑事2課刑事、
日岡( 松坂桃李)だ。

日岡は、五十子会と
尾谷組の抗争を
終息させた立役者。
再び広島の街を
戦場にしようと
暴れ狂う上林を、
自分の手で
捕らえようと動く。
かくして日岡と上林は
激突するー。

ざっとこんな感じです。

日岡の上司である
県警幹部たちが
「平穏な広島」に
苛立つ設定が面白い。

確かに平和が訪れれば、
県警幹部は用心棒代( 賄賂)を
ヤクザから
巻き上げにくくなります。
予算も削られるでしょう。
日岡を背後から
刺そうとする警察の動きが
やばすぎます!

そして最大の
ネタ明かし場面は、
上林の回想シーンでしょう。
極貧の在日コリアン家庭。
壮絶な父親のDV。
見て見ぬふりをする母親。
ここで上林少年が取った
恐ろしい行動が、
さまざまな事件を
読み解く上での
大きなヒントになります。

日本社会に対する
上林の憎しみ。
同じく在日コリアンで、
韓国永住を夢見る
パシリのチンタ( 村上虹郎)。
この作品が問うているのは
ヤクザでも警察でもなく、
マイノリティーと貧困という
闇を抱えたこの社会
そのものだと感じました。

観る人に深い余韻を
残す映画であり、
忘れがたい一本です。
真一

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