Punisher田中

孤狼の血 LEVEL2のPunisher田中のレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
3.5
前作より3年後。
大上の跡を引き継ぎ、裏社会を収めながらなんとか平和を維持する活動をしていた日岡。
ところが、1人の漢が出所したことでその平和が脅かされそうとしていた。

前作同様にエンタメ的な面白さを感じながら、しかし今作はどうにも御都合主義的で展開がありきたりなのが目に余った。
今作はヤクザ全体を悪に設定した視点ではなく、出所して解き放たれた上林というモンスターを悪に設定したもので...
日岡がヤクザ社会で築いてきた秩序を上林がすべて壊していく様子が8割、残りの2割が抗争といった構成だったが少し失速気味で繰り返し感を感じる一定のリズムを刻むシーンの数々が惜しい。
前作がかなり良かったので少し期待しすぎた気もするが、上林をモンスターとして仕立てるのならバックグラウンドを一切語らずに全くもって意味不明なモンスターとして存在して欲しかったし、任侠ものとしてはあまりにも外れてしまったのが勿体ない。

規模も前回よりミニマルで登場人物も関連図もかなりわかりやすく、流れもシンプルなので楽しみやすい部分はあるも、上林にピントが行き過ぎて他のキャラが薄い描かれ方をしているのが勿体無い。
そのため、ヤクザによって家族が崩壊するといった部分もインパクトや悲壮感薄いのがちょっと気になった。
しかし、ダークヒーローものとして見るとなるとそれはまた別。
任侠ものとしては微妙だが、ダークヒーローものとして考えることが出来ればなかなか良い線に行っていたのでは?
しっかり勧善懲悪の構図になっているし、日岡を応援出来るものでもある。
出来過ぎではあるけど遺恨を一切残さない作りがエンタメとして良い要素になり得ている。