mimotoxmimoto

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search/サーチ(2018年製作の映画)
4.0
windows XPのスタートアップからの導入部でまさかの号泣。
全編がPC画面内で展開される新感覚サスペンスを観るつもりで映画館に行ったのに、わたしが最も感動したのは、PCが操作されているそのモニター内、使っているOSや壁紙の変遷、カレンダーアプリの家族間共有、各種アプリの挙動を整理して見せるだけで、こんなにも人間の内面が表現できるという発見だった。エモすぎる。XPに更新されないノートンは、正直反則すぎるくらいエモい。

わたしたちが普段使っているメッセージアプリ、例えばiMessageやskypeでもそうだけど、相手がテキストを入力しているステータス中、わたしは相手が何を思っているか考えている。その時間は言いたいことも打てないまま、何がくるのかドキドキしたりしてる。逆に、自分がテキスティングしてるときは、ジョン・チョウパパみたいに長文を打っては消して簡易な文にしたり、やっぱりビデオ通話にしようとか、とにかく心が忙しい。ポーカーフェイスぶっても、アプリ上では感情の波が見えてしまうことがある。
そういう日常の機微がアプリ上のインターフェースにあることを改めて気づかされた。
わたしたちの使うガジェットはただ無機質なのに、人間の感情で溢れている。エモい、エモすぎる。

歴史に残っていく名作は時代を超える必要があって、あまりにも「今」が意識されたものは「不朽の名作」にはなりにくい。
それでもこの映画は、そんなこと承知の上で「今」最もおもしろい表現方法を選択したのだろう。表現方法に重きが置かれている分、サスペンスとしては軽くあっさりしていて、わかりやすすぎる感はある。でも、いいの。この映画の重心はサスペンスにないし、「今」だから最高にたのしめる映像表現を観られたから。

あと、だいたいPCフル活用で何かを解決するときは凄腕ハッカーが出てきてチート感満載だけど、ジョン・チョウパパはエクセル使ったり(エクセルのシート作成センスが良かった)、パスワード解除のあれこれをしたり、SNSへの投稿時間を確認して凸したりしててすごい親近感がわいた。
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