ケーティー

search/サーチのケーティーのレビュー・感想・評価

search/サーチ(2018年製作の映画)
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PCだけで繰り広げる面白さ。ただ、体力を使うので、疲れているときに観るとついていけなくなる可能性がある。

ただし、お父さんの動画配信や友達の泣き芝居など、意外と笑えるシーンも多く、箸休めもある。

基本はミステリー。SNSで少女の闇が明かされていきどうこうというよりも、謎解きがメイン。

ミステリーとしては、犯人の真相などオーソドックスだが、新しさを感じるのは、事件の真相追求をPCだけで展開し、日頃私たちが何気なく感じているネットの危うさと欺瞞(※1)を絡めていくからだろう。

また、本作はラストがなんといってもいい。おそらく最近の邦画なら、ラストに家族の闇を描き出し、ともすれば、これは鋭い洞察だろ、どうだと作者のナルシズムすら感じさせる終わり方になっていた可能性もあるが、ダイナミックなハッピーエンドでラストはホームドラマで終わるのがいい。思えば、山田太一さんの「岸辺のアルバム」、向田邦子さんの「阿修羅のごとく」だって、家族の押さえられていた内面や闇の描写がフォーカスされがちだが、ラストはハッピーエンドなのである。ある意味、ハッピーエンドの方が作るのが難しい面もある。最近の邦画でもこういう作品をつくることもまた必要なのではないかと感じた(※2)。

身内が捜査に関わるとよくないという刑事のセリフやネット検索の伏線もうまい。

(※1)例えば、危うさという意味ではネットで人と簡単につながりお金のやり取りなどどんなことでも出来ることが犯罪につながることが挙げられる。また、欺瞞という意味では、SNSで友達はたくさんいても、真の友達はどこまでいるのかという問題などがある。

(※2)思えば、カメラを止めるなは少しそのニュアンスがある。現場で働くディレクターの凄惨さをあくまでも喜劇調で描き、ラストはホームドラマでハッピーエンドで終わらせる。このニュアンスが最近の作品にないからこそ、ウケたのかもしれない。