先日ラジオ(J-WAVE)を聴いていると、ナビゲーターの安田菜津紀(フォトグラファー)のコーナーに、是枝監督がゲストで出演されており、本作のことも語ってらっしゃいました。
何でも構想から11年の歳月がかかったそうで、やはり外国映画として撮る苦労があったのだと思います。
そもそもフランスでの制作になった経緯は、まずカトリーヌ・ドヌーヴ演じるファビエンヌ役に、当てはまる日本の女優がいなかったそうです。確かにちょっと浮かばないですね。
そして、困難であろう言語の違いですが。何年か前にモロッコの映画祭で、監督の思いを完璧に伝えてくれる天才的な通訳の方と出会うことができ、解決されたそうです。
他にもイーサン・ホークの夫役は自分を反映させてるとか、助成金の話(あいちトリエンナーレの問題もからめつつ)など、偶然ながらも聴けてラッキーでした。
10月25日(金)に是枝監督のティーチインが行われるようです(こういうところも素晴らしい)が、もう待ちきれず鑑賞してきました。
ポスターからは重く堅苦しい映画なのかと勝手に思っていましたが。そのようなことは全くなく、セリフにしても常にユーモアに溢れていました。
ストーリーとしては、特に大きな出来事がある訳ではありませんが、母と娘の人間ドラマが丁寧に描かれます。
劇中に出てくるファビエンヌが出演するSF映画も見所のひとつで、共演するマノンという女優も素晴らしかったです。どうやら経験はそれ程なく、オーディションで抜擢されたようです。彼女はファビエンヌとリュミエールの間で重要な役割を果たします。
もちろんカトリーヌ・ドヌーヴも、ジュリエット・ビノシュの演技も素晴らしく、監督が二人とコミュニケーションを重ね、良さをうまく引き出したことが伺えます。
撮影や音楽も文句なしです。
鑑賞後は何とも心地のよい、幸せな気分になり、映画の素晴しさを実感することができました。