ハヤシ

スローイング・ダウン ファストファッションのハヤシのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ファッションがまぁまぁ好きなので、本編で語られる半分ほどの内容は既に知っていた。イギリスのウール製品を推奨・称賛するプロパガンダ作品であり、天然素材である綿を批判し麻については言及していないという懸念点もあるが、内容は面白かった。

ファストファッションの問題点は2点あり、1点目はサプライチェーンの不透明さと製造者が実質的に搾取されている状態にあること、2点目は驚異的な低価格の根拠になる合成素材(化学繊維)が処理しても土に還らない点。

古着屋で良い製品を見つけることや、トレンドに左右されず長く着られる品質やデザインの服を購入する行為自体が「ダサいこと」としてイメージ形成されているファッション業界において、こうした消費行動の改善を試みるのは難しい、
…そもそも莫大な広告宣伝費を使って、顧客に対し消費と破棄のサイクルを強いているのは、実はファストファッションブランドではなくパリコレブランドだからな(前者の登場によってそれが加速したのは事実だが)。

本編では言及されなかったユニクロも、デザインこそトレンド色の薄いノームコアで天然素材100%使用の製品も案外多い(少なくともZARA、H&M, 日本撤退したforever21やtopshopよりは圧倒的に揃えている)のだが、低価格を裏付けるように生産国は中国やベトナム、バングラデシュが大半なので、えげつない収奪の構造がちらつく。
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