MasaichiYaguchi

純平、考え直せのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

純平、考え直せ(2018年製作の映画)
3.4
奥田英朗さんの同名小説を野村周平さん主演で映画化した本作では、LINE、Twitter、Facebook、Instagram等のSNSが広く浸透したデジタルな現代社会に、昭和の任侠という時代に逆行するアナログ要素が拮抗して不思議な熱を生み出している。
本作は新宿歌舞伎町を舞台に、対立組織幹部への「鉄砲玉」を命じられた21歳のチンピラ・坂本純平の決行までの3日間を描くピカレスク青春物。
この純平と3日間行動を共にするのが、ある切っ掛けで彼と知り合った今時のSNS女子でOLの山本加奈。
ヤクザというより義理人情の任侠の世界を生きようとする純平を野村周平さんが熱く演じていて、始めは興味本位、SNSへの投稿ネタとして関わりを持った加奈が彼の熱が伝播したように変わっていく様を、柳ゆり菜さんが体を張って表現している。
始めの頃の加奈と同様に〝野次馬的〟〝第三者的〟だったネット社会の住人たちが、〝決行〟が近づくにつれて〝反応〟が変わっていく。
果たして加奈や多くのネット住人の願い「純平、考え直せ」が通じて、彼は行動を改めるのか?
純平の行動の是非はともかく、ネットで呟くことで〝炎上〟させることは出来ても、自分自身を変えることは出来ない。
たまにはデジタルな生き方からアナログな生き方をしてみるのも良いかもしれない。